研究課題/領域番号 |
02301054
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
城戸 毅 東京大学, 文学部, 教授 (40011324)
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研究分担者 |
新井 由紀夫 東京大学, 文学部, 助手 (30193056)
網野 徹哉 フェリス女学院大学, 国際文化学科, 講師
森田 安一 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10033177)
伊藤 貞夫 東京大学, 文学部, 教授 (20011322)
西川 正雄 東京大学, 教養学部, 教授 (10012353)
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キーワード | ヨ-ロッパ / EC / 南北問題 / 西洋 / 地域史研究 / 地域主義 / 古典文化 / 世界史 |
研究概要 |
本年度は、地域の視点に重きを置いた各国史研究や内外の関連諸資料を広く探索・収集すると共に、時代を軸とする分科会({前近代ー城戸、伊藤、相沢、河原、新井}、{近・現代ー西川、森田、網野})を中心に研究が進められ、北と南という枠組みがとりわけ時代的にみてどのような歴史的特質を帯びていたのかにつき各分科会毎に報告・討議が行なわれた。その結果、「北」と「南」という本研究上の枠組みは、対立する概念としてだけでなく、それぞれの地域の持つ歴史的固有性をそれぞれ独自に象徴するものとしても有効性を持つ概念であることがあらためて確認された。この前提のもとに時代的にみると、とりわけ前近代史における、地域の固有性の視点の必要性が指摘された。すなわち前近代ほど、地理的自然条件が規定的な作用を及ぼしていたのは勿論であるが、その「北」と「南」という地理的枠組みそれぞれにおいて、その地理的自然条件によって育まれたそれぞれの歴史的固有性が、前近代においてその地域の政治・社会・文化の中に育まれて行ったのである。それに対して近代以降になると、産業革命以来の新たな世界史の展開に伴い、「北」と「南」というファクタ-は、地理的自然条件を超越した様相を呈し始め、各国民国家内での地域間格差の象徴として「北」対「南」という意味づけがなされるようになると同時に、やがて現在も根強く残るいわゆる南北問題に連続する性格を、次第に色濃くしてゆく。このように時代によって「北」と「南」という枠組みが持つ意味あいは変化するものの、「北」と「南」の概念は、時代を通じてヨ-ロッパでは大きな重要性を持つものであったことが明らかになった。
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