研究課題/領域番号 |
02301055
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 春彦 京都大学, 文学部, 教授 (20022345)
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研究分担者 |
野田 宣雄 京都大学, 法学部, 教授 (50026754)
服部 良久 京都大学, 文学部, 助教授 (00164872)
紀平 英作 京都大学, 文学部, 助教授 (60025070)
松尾 尊兌 京都大学, 文学部, 教授 (10027526)
藤縄 謙三 京都大学, 文学部, 教授 (50025053)
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キーワード | 市民 / 国家 / 主権 / ヨーロッパ / アメリカ |
研究概要 |
今年度は当研究の最終年度にあたっているので、過去2年間に各分担者が行ってきた研究結果を互いにつき合わせ、問題設定と分析視角を再検討しながら、研究成果を集約・統合化することに力を注いだ。そして、このような作業をふまえた上で、各分担者はそれぞれのテーマについて研究結果を要約したレポートを作成した。その内容は、研究成果報告書が示す通りであるが、時代的には古代ギリシアから20世紀後半まで、地域的には東西ヨーロッパとアメリカ合衆国を含む、きわめて多岐にわたる問題を扱うことになった。さらに問題へのアプローチの仕方も、各時代、各地域における「市民」の概念史的あるいは法制史的把握を目指すものから、社会層としての「市民」の形成過程と実態、彼らの地位と役割、意識と行動、国家権力との関係など、広く政治史的・社会史的考察を主目的とするものまで、ヴァラエティーに富んでいる。 特に今年度の研究によって得られた新しい知見および成果としては、古代ローマにおいて市民団の構成員となったギリシア人の活動の実態に詳細な分析を加え、2世紀後半以降における彼らの国政参加の著しい進展がギリシア人の意識の変化とローマ国家の性格の変化とに起因することを明確にしたこと、16・7世紀ポーランドの首都ワルシャワにおける「市民」の存在形態について、「市民」が備えるべき条件、特権身分と平民身分との共棲関係などに注目しつつ具体的解明を進めたこと、さらに、19世紀以来フランス人が植民地アルジェリアのイスラム教徒原住民に対して市民権を与える際、イスラム法身分の放棄のほかに言語能力や資産の所有など厳しい資格を要求してきたことを実証し、フランス人におけるフランス「市民」概念の従来知られていなかった側面に光を当てたこと、などを挙げることができる
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