研究課題/領域番号 |
02301056
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
甘粕 健 新潟大学, 人文学部, 教授 (90114991)
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研究分担者 |
坂井 秀弥 新潟県教育庁, 文化行政課, 文化財専門員
辻 秀人 福島県立博物館, 主任学芸員
川村 浩司 新潟大学, 人文学部, 助手 (70204782)
伊藤 玄三 法政大学, 文学部, 教授 (50061122)
工藤 雅樹 福島大学, 行政社会学部, 教授 (30132004)
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キーワード | 前方後円墳 / 前期古墳 / 古墳文化の東北地方への伝播 / 古式土師器 / 会津盆地の古墳 / 新潟平野の古墳 / 供献土器 / 北陸系土器の東北地方への伝播 |
研究概要 |
從来東北最古の大形前方後円墳とされていた会津若松市大塚山古墳に先行する可能性が考えられた新発見の前方後円墳、同市一〓町所在の堂ケ作山古墳の測量および、墳形確認の発掘調査を行った。その結果、主軸長約84mの大形前方後円墳であることが判明するとともに、多数の供献土器片が檢出され、その型式から、4世紀中葉を降らぬ時期の造営と推定され、東北における大形前方後円墳の初源が、通説より少くとも4半世紀を遡ることが明かになった。段築、葺石等畿内の前期古墳と共通する技法が確認された一方、險しい山頂の地形を最大限に利用した結果、後円部が隅丸台形を呈する等、特異なプランを有することが明かとなった。山頂の立地と特異なプランは、中部地方西部、越前、美濃に類例があり、東北最古の前方後円墳の系譜を考える上で重要な示唆が得られることになった。会津坂下町の男壇、宮東兩遺跡で発見された方形周溝墓、前方後方形周溝墓出土の土器群の檢討を行い、これらが堂ケ作山古墳と同時期、または若干古く位置づけられることを明かにした。またこれらの中に含まれる北陸系の土器を檢討し、東北南部への初期古墳文化の流入路としての越後地方の重要性が確認された。また、從来古墳の存在が不明であった新潟平野の阿賀野川右岸で新たに発見された新発田市五十公野古墳(前方後円墳)、中条町城塚古墳(円墳)を踏査し、これらが前期古墳の可能性が強いことを確認した。近年、東日本、特に東北では、古墳文化の形成期において、先ず中小規模の前方後方墳が現れ、一時期後れて大形前方後円墳が現れるのが一般的と見られていたが、今回の調査により、会津盆地では、大形前方後円墳と前方後方墳が併行して現れ、当初から地域的なヒエラルヒ-が形成されていたこと、また東北南部と、中部関東の古墳の発生に殆ど時期的なズレがないことが立証されたことは大きな成果であった。
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