研究分担者 |
井上 洋一 東京国立博物館, 学芸部・考古課, 研究員 (60176451)
春成 秀樹 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 教授 (20032708)
新井 英夫 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 生物室長 (00000456)
安藤 孝一 東京国立博物館, 学芸部・考古課, 有史室長 (60202785)
望月 幹夫 東京国立博物館, 学芸部・考古課, 原史室長 (60141991)
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研究概要 |
本年度は(1)周辺地区の地形図の作成,2)墳丘裾端部の調査,3)排水溝出口部の確認調査の3点を目標とした。1)は古墳北側地区28.2mコンターラインまでを作図。さらに北側へと試みたがブッシュが激しく不可能であった。墳丘南側は幅10mほどの削平面をはさんでさらに丘陵が続く状態の作図を行った。これは41.5mコンターまでの作図を行った。2)墳墳裾部は北側斜面にトレンチを設定し発掘調査を行った。北側斜面には葺石の遺存状態は北較的良好で、少量の土師器片等の遺物も採集された。3)排水溝は南側で検出した。竪穴式石室内部で確認した部分は素掘りのものであったが、この部分では板石を斜にたてかけて側面を講成する。溝は上面幅25cm,下底部幅15cm,深約15cm。上面には厚5cmほどの平石で蓋をするが、床石は認められなかった。3)排土(明治期のもの)の中から鉄刀片1が出土。これは博物館蔵品と接合された。しかしなお完品とはならない。分析の結果、砂鉄鉄を原料とするものであることが判明した。赤色顔料なスペクトル分光分析等を行った。石室壁面のものはベンザラ(Fe_2O_3)、床面のものは(HgS)である。石室構築の石材はカンラン石玄武岩,床面の檪等は流紋岩であり,周縁地域で容易に入手しうるものである。顕著な遺物としては特殊円筒埴輪片がある。これによってこの地区の発生期の古墳がともに共通の要素を呈することが明瞭となった。
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