研究課題/領域番号 |
02301060
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
板坂 則子 群馬大学, 教育学部, 助教授 (30134266)
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研究分担者 |
高木 元 愛知県立大学, 文学部, 専任講師 (00226747)
キャンベル ロバート 九州大学, 文学部, 専任講師 (50210844)
佐藤 悟 実践女子大学, 文学部, 助教授 (50178729)
浜田 啓介 京都大学, 教養部, 教授 (50026720)
服部 幸雄 千葉大学, 文学部, 教授 (70172939)
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キーワード | 曲亭馬琴 / 合巻 / 山東京伝 / 柳亭種彦 / 草双紙 / 役者似顔絵 |
研究概要 |
・曲亭馬琴の短編合巻全作を調査することにより、化政期の合巻の特徴を捉えることができた。すなわち、この時期、芝居と戯作との融合が図られ、合巻の主人公達が著名な芝居の「世界」を背負い、芝居の登場人物名が合巻の主人公の名となり活躍するばかりでなく、各丁の挿絵の中でそれらを演じる出演者までもが当代の人気役者の似顔で描かれている。さらには、それに留まらず、その動きも役者本人の役柄に制御されていく。使われる役者は、その時の役者の評判、芸風をそのまま用いられており、戯作の持つ主筋への興味は、役者そのものへの関心に、時として従属している。この事は、馬琴が芝居から遊離した長編合巻の世界を生み出す要因となったと考えられる(板坂、学会発表「馬琴合巻における役者似顔絵の使用」)。 ・この傾向が蔓延していくのと平行して、役者自身がゴ-スト・ライタ-を用いて合巻を刊行していった。各々の役者は、ほぼ固定化した書き手を持っていた。『役者合巻集』(佐藤)は、その代表作を集め、翻刻、解説を付したものである。 ・二流の作者は、又、違った作り方も採り入れている。例えば、岡山鳥は、十返舎一九らの過去の作品を巧みに改編して、数作を刊行している。山鳥に関しては、細かい年譜を作成中である(高木)。 ・馬琴は、化政期の合巻の一般的な特徴を持っていると考えられるが、芝居の世界により近く、専門的な知識を有していた山東京伝・柳亭種彦は、また違った取り組み方をしていたようである。少数派になるが、質的に化政期の草双紙界をリ-ドしていた京伝・種彦等についても、調査中である。
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