研究課題/領域番号 |
02301071
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
吉野 一 明治学院大学, 法学部, 教授 (50062162)
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研究分担者 |
太田 勝造 東京大学, 法学部, 教授 (40152136)
宮本 健蔵 明治学院大学, 法学部, 教授 (70166198)
原口 誠 東京工業大学大学院, 理工学総合研究科, 助教授 (40128450)
松村 良之 北海道大学, 法学部, 教授 (80091502)
加賀山 茂 大阪大学, 法学部, 教授 (20169379)
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キーワード | 法 / 法律 / 法的推論 / 法的知識 / 知識ベース / 推論機構 / 人工知能 / エキスパートシステム |
研究概要 |
本研究は、実定法の言語分析を通じて法的知識の論理構造を明らかにするとともに、それに基づいて法的正当化の推論をその実際に即して行なうことのできる法律エキスパートシステムの基礎を確立することを目的とする。原理と方法の解明と実証を行なうためにAIワークステーション上に知識ベースと推論機構ならびに最小限のインターフェースからなる実験用のプロトタイプを作成する。 本年度は、平成2年度を初年度とする3年計画の研究の最終年度である。本年度の研究において上記の研究目的はほぼ達成された。すなわち(1)法的知識の構造については、国際統一売買法および民法(一部)の条文を法規範文単位に要件・効果の内的構造において解明するとともに、諸法規範文間の論理的結合関係を明かした。その際とくに法の適用を制御する推論の知識構造を法規範文とその効力を規定しているメタ法規範文の関係として解明した。(2)法的知識ベースを、上記法分野において、法規範文とメタ法規範文を複合的述語論理式として表現したルールベースとしてサンプル的に、AIワークステーションPSI-II上に作成した。同様な形式でいくつかの事例も表現した。(3)法的推論機構としては、まず、a)適用すべき法規範文を決定する推論を、上記法的メタ法規範文を適用した演繹的正当化の推論として構成し、そのための法的メタ推論機構を完成した。また、b)この推論過程を理解・説明するための機構を作成した。それは、成功した全推論過程を木構造で表示し、推論結果とその根拠としてのルールや事実を推論の各段階において示すユーザフレンドリーな機能を有する。さらに、c)有限なルールを用いて多様な事件に対して法的解決を与えるための拡大解釈や類推適用の工学的モデルを、法的シソーラスの構造にしたがった仮説生成の推論として計算机上実装し、その有効性および問題点を検討した。
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