研究課題
平成3年度には、第3回、第4回の2回にわたり研究会を開催した。第3回研究会においては、まず、前回第2回研究会に引きつづき、各国(スイス、イギリスおよびドイツ)における政党への国庫補助の現状の報告を行い、また、1990年11月に出された自民党基本要綱を軸にして日本の現状を分析した。さらに、政党国庫補助をめぐる理論分析しとて、前回の研究会までに課題として共通認識された以下の諸問題を検討した。第一に、近代議会制における政党の役割について、議会政治が政党制を必須とする論理をイギリスに即して再検討し、第二に、選挙とメディアについて、つまり政党国庫補助が世界的に登場する背景をなした、マスメディアを利用した選挙に莫大な費用がかかるようになったことの功罪について、民主制論から吟味した。最後に、結社の自由論と政党制について、アメリカの議論を素材に「政党の自由」を人権論から構成する論点を、最近の「団体と個人」問題に触れつつ考察した。第4回研究会においては、新たな分析視角から引きつづき各国(前回の諸国に加えニュ-ジ-ランド)の現状分析を行い、理論的検討としては、とりわけマスメディアと選挙のテ-マを堀り下げた。議会制民主主義と選挙・政党制をめぐる従来の理論状況および各国の最近の動向の概観と論的諸課題の摘出をほぼ完了し、最終年度は、予定している日本のおける選挙制度改革と政党への国庫補助導入に対する提言に向けて、さらに議論を深めていく予定である。
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