研究課題/領域番号 |
02301080
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
高須賀 義博 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70017656)
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研究分担者 |
鳴瀬 成洋 神奈川大学, 経済学部, 助教授 (20156003)
中尾 茂夫 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (70164126)
平野 泰朗 福岡県社会保育短期大学, 助教授 (20165195)
山田 鎮夫 名古屋大学, 経済学部, 教授 (10024978)
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (00155441)
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キーワード | レギュラシオン / 国際システム / ポスト・フォ-ディズム / 産業予備軍効果 / 労働のフレクシビリティ / 基軸通貨国 / 世界資金循環 / ジャパン・マネ- |
研究概要 |
本研究は、1980年代以降の先進資本主義諸国における新たな蓄積体制と調整(レギュラシオン)様式の構築の動きとその問題点を国際システム的連関の中で理論的・実証的に分析することを目的とする。この課題を達成するために、本年度は以下の点に重点をおいて研究を進めた。 1.まず初めに、レギュラシオン理論の立場からの新たな調整様式に関する分析として、ポスト・フォ-ディズムに関する議論を整理した(山田、1991)。従来、混沌としていたその議論に関して、主として賃労働関係の再編成のあり方に注目しつつ、理念型として、(1)分散的、(2)ミクロ・コ-ポラティズム的、(3)ハイブリッド的、(4)社会民主主義的という4大国民的軌道が析出できることを明確化した。 2.次に、それぞれの軌道に関して、(1)都留(1990)は、労働市場の賃金調整機能の日米比較を行ない産業予備軍効果の回復という観点から、(2)平野(1990)は、労使関係のフレクシブル化、特にサ-ビス産業における動向の国際比較を通じて、上記のような類型化が一定の経験的妥当性をもつことを示した。 3.さらに、国際システムそれ自体の分析を試みた。実物的側面では、鳴瀬(1991)が、1970年代以降の国際システムの捉え方として、覇権安定理論とレジ-ム論を両面批判した。金融的側面では、中尾(1991)が、基軸通貨ドルの後退と円の国際化の問題を世界資金循環の構造分析と邦銀の財務構造分析を通じて考察した。その結果、基軸国衰退下では、アメリカの景気循環管理能力は高まったものの、その背後でシステム・レベルでの不均衡が累積し、ドルの基軸通貨性が侵食されていることが明らかにされた。
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