研究分担者 |
山田 鋭夫 名古屋大学, 経済学部, 教授 (10024978)
柴田 武男 聖学院大学, 経済学部, 講師 (30235577)
鳴瀬 成洋 神奈川大学, 経済学部, 助教授 (20156003)
中尾 茂夫 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (70164126)
平野 泰朗 福岡県社会保育短期大学, 助教授 (20165195)
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研究概要 |
本研究は、1980年代以降の先進資本主義諸国における新たな蓄積体制と調整(レギュラシオン)様式の構築の動きとその問題点を国際システム的連関の中で理論的・実証的に分析することを目的とする。この課題を達成するために、本年度は以下の点に重点をおいて研究を進めた。 1.まず、基軸国衰退下の国際システム再編成の基本的方向は日・米・ECの三極構造の形成であり、しかも各圏の内部で立ち上がりつつある蓄積体制・調査様式の性格は対極的に異なるという作業仮説をたて、各圏を分析した。(1)日本については、第1次石油危機以降の調整過程の特微を、労使関係、賃金交渉耕造、資本蓄積に即して明らかにした(平野,1991;Tsuru,1992;鳴瀬,1992;山田,1991)。(2)アメリカに関しては、労働市場および金融市場における再編成の時質に照明をあてた(Tsuru,1991;柴田,1992)。(3)ECについては、日米に対抗する蓄積体制革新の戦略としての欧州統合の基礎にある論理を検出した(鳴瀬,1991)。 2.次に、国際システムに関しては、前年に引き続き、基軸国と非基軸国との非対称性という側面を強調した。実物的部面では、上記の三極圏の動向と国際システムとの関連を考察した。とりわけ、前年度に析出された国際システム解釈の2つの立場、すなわち覇権安定理論とレジ-ム論を両面批判する視角から、基軸国と非基軸国との間の蓄積体制革新圧力の相違の下での国際システムの安定性という問題を考察した(鳴瀬,1992)。また、金融的部面では、基軸国と非基軸国では資本がグロ-バル化する経済的条件がどのように異なるかという観点から、邦銀のグロ-バル化の実態について、進出先の金融市場における邦銀のシェア、資産・負債分析、対日ポジションの実態等の分析を行なった(中尾,1991)。
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