研究課題/領域番号 |
02301084
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
尾上 久雄 滋賀大学, 学長 (10027568)
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研究分担者 |
北村 裕明 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (80144278)
植田 和弘 京都大学, 経済学部, 助教授 (20144397)
戸田 常一 広島大学, 経済学部附属地域経済研究センター, 助教授 (20109028)
仲上 健一 立命館大学, 経営学部, 助教授 (10109077)
阪本 靖郎 神戸商科大学, 教授 (30047477)
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キーワード | 費用便益分析 / 疑似的市場法 / 支払容認価格 / 持続的発展 / 環境 / 水資源開発 / 琵琶湖 / 道路整備 |
研究概要 |
本研究は、公共社会における事業プロジェクトの成果を社会的に評価する基準を確立し、経済政策決定過程への適用可能性を検討することを目的としている。本年度の研究によって得られた主要な成果は、次の3点である。 第一に、公共性の強い事業の便益評価の手法について、内外の研究成果をふまえて検討を加え、疑似的市場法が、他の方法(間接市場法等)に較べ、適用範囲が広く、しかもデ-タ上の制約が少ない等の優位性を持っていることが明らかになった。しかしながら同時に、現実の行動に近い行動を回答者がとるように仕向けることと、質問にともなう種々の偏りを取り除くことが重要であることも明らかとなった。 第二は、方法論上の検討をふまえて、疑似的市場法の一つであるWillingness To Pay(支払容認価格)を用いた調査を、琵琶湖集水域の住民に対して行った。WTP調査は米国では70年代以降かなり行われ成果も公表されているが、我が国では本調査が最初の本格的な調査である。琵琶湖の経済的価値を、飲料水源としての効用、水泳場としての効用、釣り場としての効用という3側面に分け質問表を準備し、3月に、滋賀県、京都府大阪府の住民に対して調査を実施し、回収された約1000通の質問表を現在分析中である。 第三は、放送事業、道路整備事業、水資源開発事業の3分野について社会的評価基準のフレ-ムづくりを行った。道路整備事業については、広島県をフィ-ルドにして、地方道路整備水準の考え方として、地域振興と都市農村交流という視点から検討を加えた.水資源開発事業については、従来の経済効率を軸とした評価ではなく、環境を配慮し、持続的発展を評価軸としたモデルの設計を試みた。
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