研究課題/領域番号 |
02301084
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済事情・政策学
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
尾上 久雄 滋賀大学, 学長 (10027568)
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研究分担者 |
北村 裕明 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (80144278)
戸田 常一 広島大学, 経済学部, 助教授 (20109028)
成瀬 龍夫 滋賀大学, 経済学部, 教授 (60046505)
阪本 靖郎 神戸商科大学, 商経学部, 教授 (30047477)
井原 健雄 香川大学, 経済学部, 教授 (80035930)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 事業評価 / 費用便益分析 / 擬制市場法 / WTP(支払容認価格) / 環境保全 / 持続的発展 |
研究概要 |
本研究は、公共社会における事業プロジェクトの成果を、社会的に評価する方法の設定を試み、経済政策決定過程への適用可能性を検討することを目的としている。2年にわたる調査研究によって得られた主要な成果は、以下の諸点である。(詳細は研究成果報告書『環境保全事業の評価』を参照) 1.事業プロジェクトを社会的に評価する際に、環境へのインパクトを測定することは極めて重要な課題である。そして、その場合環境財の価値を測定する手法を確立することが現時点において重要な作業となっている。擬制市場法(WTP調査)は既存のデ-タに制約を受けないという点において他の方法より優れている。他方、WTP調査の有効性を保証するものは、設問の設計方法であり、それが十分に吟味され、回答者が便益の過大評価や過小評価を避けるように、適切な情報を提供しつつ、設問が組み立てられているかどうかが鍵となる。 2.以上の理論的研究に基づき、琵琶湖集水域ではわが国で始めての本格的なWTP調査「琵琶湖の効用についてのアンケ-ト調査」を2度に分けて実施した。その結果、飲料水源としての琵琶湖の水質を改善することによる年間総便益は、6,184億円であり、かかる便益を生み出すプロジェクトの現在価値は約10兆円と推計される。 3.以上の理論的実証研究から、環境保全型のプロジェクトによってもたらされる便益は、開発型のプロジェクトの便益に十分匹敵しうることが明かとなった。したがって、費用分析を正確に行う必要があるとはいえ、保全型プロジェクトが立ち遅れている現点時では、開発型プロジェクトを保全型プロジェクトに質的に転換することは、社会経済的にみて有益である。
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