本年度は、前年度に決定した目次案を前提として、各自の分担研究の取りまとめと、その研究会での報告を中に共同研究を実施した。また、これと並行して、発掘された資料の整理とデータベース化を引き続き行った。究会の実施状況は次の通り。原朗「戦時統制経済の国際比較(2)」(H4.4)、山崎志郎「戦時日本経済の物的面」(同)、岡崎哲二「戦時経済と金融システム」(同)、加瀬和俊「戦時食糧統制の到達点と限界-消費経の計雅化の可能性-」(H4.5)、寺村泰「戦時期の貿易政策-貿易省設置問題を中心に-」(H4.6)、金子夫「戦時期満州中央銀行の投資機能について」(H4.6)、平智之「国際金融部門の概要-経済制裁下の横浜金銀行を中心に」(H4.9)。いずれも、前々年度以来の研究をふまえ、研究成果の刊行にむけて準備されたもである。最初の3報告は、日本の戦時慶済を物的側面と金融的側面から総括的に分析し、それを国際比較の枠組に位置づけるもので、共同研究全体の統論的部分にあたる。後の4報告は、対象を絞って、新しい切り口から証研究を深めることをねらいとしている。このほか分担者以外から柳沢遊氏に、「大都市における商業再編と転廃業問題」に関する報告を依頼した(H4.9)。以後、各自、分担部分の研究成果について原稿化を進めるともに、数回、連絡・調整のための研究会を開催した。研究成果は、共著者として東京大学出版会から刊行す予定である。
|