研究課題/領域番号 |
02301089
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研究機関 | 秋田経済法科大学 |
研究代表者 |
鈴木 達郎 秋田経済法科大学, 経済学部, 助教授 (30154553)
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研究分担者 |
渋谷 長生 弘前大学, 農学部, 助教授 (60216033)
田口 正己 立正大学, 短期大学部, 教授 (00062828)
小岩 信竹 東京水産大学, 水産学部, 教授 (40003636)
加藤 幸三郎 専修大学, 経済学部, 教授 (90083477)
高橋 秀夫 秋田工業高等専門学校, 教授 (60042272)
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キーワード | 農村地域経済 / 農民層分解 / 水稲単作地帯 / 複合経営 / 老農 / 農業協同組合 / 農業改良運動 |
研究概要 |
本研究の目的は、『東北型』農村における、明治維新期から現在にまで至る地域経済の客観的変容過程を明らかにし、またその変容への農民層の主体的な対応過程を解明することにある。その際、膨大な役場資料が保存されている秋田県平鹿町に分析対象地を設定した。秋田県は、水稲単作地帯として特徴づけられる『東北型』の典型であり、とりわけ平鹿郡はかかる性格が濃厚である。 農村地域経済の歴史的変容過程を明らかにするためには、基礎過程分析として農民層分解の様相を究明することが不可欠である。さしあたりわれわれが明らかにしえたのは、明治中・後期(松方財政期〜日露戦後期)の農民層の所有分解と経営分解のあり方である。この間は不在地主制の発展期であり、在村の手作地主ないし自作の大農層が発展することは困難であった故に、『東北型』=経営の「両極分化」説は再検討されねばならない。さらに今後、大正・昭和期における農民層分解のありようを解明していきたい。 平鹿郡は水稲単作地帯であるが、決して平板に展開してきたわけではない。旧醍醐村(現、平鹿町)にあっても、老農層の主導のもとに、明治前期には蚕糸業が発展し、リンゴ作の導入も図られるなど、適地適産の観点から複合化が試みられた。また昭和40年代のリンゴ再編期には、平鹿果樹農協に結集する自作農の自主的活動によって、リンゴ技術の革新と品種更新がもたらされ『平鹿リンゴ』として産地の育成・拡大が実現されたのである。 水稲単作からの脱却を目指す、かかる主体的な農事改良運動の態様も明らかにしえたと考える。 われわれの研究はなお中途に留まり総括する域に達していない。今後も共同研究を継続して、現代日本農業の危機的状況を見極め、さらにそれを克服する視座を獲得するという最終的な目標に接近していきたい。
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