研究課題
本研究は国際比較の視点から、福祉国家財政と政府間財政関係を分析することを目的としている。今年度の研究実績の概要は次の通りである。第一に昨年度の既存の研究水準のサ-ベイをふまえ、今年度は各国の担当者が福祉国家財政の特質と問題点を明らかにするために計8回の研究会並びに合宿1回(12月21〜22日)を行なった。具体的テ-マは、「2つの財政理念ースミス的と福祉国家的」(5月19日)、「企業社会の形成と日本社会ー『資産所有民主主義』の帰結」(6月15日)、「福祉国家における中央と地方」(7月20日)、「政府間財政関係の重疊化」(10月19日)、「福祉行政事務配分の動向と政府間財政関係の再編」(11月16日)、「日本型福祉国家論ノ-ト」及び「韓国における福祉国家への模索」(11月30日)、「サッチャ-と地方自治」、「サッチャリズムと公企業民営化」及び「1980年代のアメリカ州・地方財政」(12月21〜22日)、ドイツ福祉国家財政と補助金政策」(2月1日)、「イギリス福祉国家財政の展開」(2月29日)であった。各自の研究の進展により各国福祉国家財政の実態に関して共通認識が深まったが、具体的な国際比較の視点の設定と研究の総合化が必要となった。第二に文献及び統計資料の収集・整理に関しては、ヨ-ロッパを中心にしてかなりの進展がみられた。しかし、アメリカの文献・統計の収集・整理及び統計の集計作業はなお不十分である。第三に、今年度も研究補助者の協力を得て、統計・デ-タの集計作業を行なった。基本的デ-タの収集・整理はかなり進んだが、各自のテ-マ設定が明確になるにつれ、より詳細な個別デ-タの整理が必要となっている。上記のように研究の進展に伴って目的はほぼ達成されたが、なお個別デ-タの整理と国際比較の視点の統一及び研究の総合化を目指したいと考えている。
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