研究課題/領域番号 |
02301098
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
谷 直樹 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (40159025)
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研究分担者 |
増井 正哉 京都大学, 工学部, 助手 (40190350)
内田 九州男 社団法人部落問題研究所, 研究員 (10158777)
相蘇 一弘 大阪市立博物館, 研究副主幹 (90110072)
鎌田 道隆 奈良大学, 文学部, 教授 (40140470)
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キーワード | 近世大坂 / 都市空間 / 都市居住 / 都市景観 / 建築史・都市史研究 / 町式目 / 共同施設 |
研究概要 |
本研究は近世大坂の都市空間を建建史的・都市的アプロ-チで解明することを目的としている。史料収集を主たる目的とした前年度の作業にひきつづき、本年度は前年度終了時に設定した5つの共同研究のテ-マについてそれぞれ成果をとりまとめた。その5つのテ-マはつぎのとおりである。 (1)都市の発展過程(2)都市景観(3)居住事情と住宅の諸形態(4)地域生活空間の構成とシステム(5)遊興空間 (1)については、町人による近郊開発の事例として大阪市立中央図書館蔵の史料を用いて御用瓦師寺嶋家による南瓦屋町の長屋街区形成過程を明らかにした。(2)については、大阪市立博物館や大阪城天守閣に所蔵されている絵画史料を収集し、その景観年代の検討と編年作業を行った。また近世絵画史料のリストを作成した。(3)および(4)については、前年度収集した愛日学区の住戸絵図の復原作業をおわり、22ヶ町の住戸連続平面図を作成した。これにより、近世から近代への転換期の町家の間取りはもちろん、都心部での集住形態(表町家と裏長屋の配置、路地、生活共同施設などの分布状況など)を明らかにすることができた。(3)については、成文化された共同生活のル-ルである「町式目」をとりあげた。本研究で収集した30点の町式目の内容について、その条目を分析するとともに、地域的、年代的特徴も考慮にいれて検討をくわえ、生活の維持管理システム、地域の環境保全システム(防火・消火・防犯・清掃)など、近世「町」が都市生活にはたした積極的な役割を明らかにした。(5)については、小説、随筆などの文学作品、名所案内記、さらには外国人旅行者の見聞記などから、「あそび」の空間の記述を抽出し、その特徴を明らかにするとともに、近世大阪における都市生活の魅力について検討した。
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