研究分担者 |
成定 薫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50110466)
松尾 幸とし 同志社大学, 工学部, 助教授 (20121600)
寺田 元一 名古屋市立大学, 教養部, 助教授 (90188681)
斉藤 光 京都精華大学, 人文学部, 講師 (80211259)
横山 輝雄 南山大学, 文学部, 助教授 (80148303)
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研究概要 |
三年間にわたる本研究では、これまで欧米の研究者たちによって行われた進化論受容の比較研究と重なる部分もあるが、欧米研究者たちが見すごしている東洋での受容の状況をも加え、本格的な比較研究をめざした。そこで、中国,イギリス,ドイツ,フランス,ロシア(ソビエト),スペインにおける進化論、とりわけダーウィニズムへの反応を日本の反応と比較しながら、それぞれの特徴を分析した。 日本に関しては、これまでの研究でぬけていた視点(日本とアメリカでの社会ダーウィニズムの比較,高等教育への科学概論なる講義の導入と進化論の関係,科学界の形成と進化論の関係など)を加えることができた。中国については宣教師の役割を中心にして進化論受容の過程を分析し、日本での反キリスト教者の外国人による進化論導入とのちがいを明確にした。なお、ゲストとして招いた中国の科学史家による分析も加わり、掘り下げが深まった。 欧米に関しては、神学者たちが進化論に対し、どのような態度を示したかを新資料で分析する研究も含めて、先駆的研究のトーマス・グリックのものに新知見をもたらすことができた。 本研究を通して、進化論受容のパターンの多様性がうきぼりになったが、このような多様性を整理する枠組が必要となる。それに関して文化人類学者M.ダグラスによって提唱されたグリッド・グループ理論を適用することを試みた。 全体としては、比較研究に一定の役割を果たす新知見を得ることができたが、今回着手できなかった中国以外のアジア諸国での動向を今後調査することによって、さらに充実したものにしていく予定である。
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