研究概要 |
19世紀から20世紀前半までのアメリカ南部の工業化過程についての研究が集約され,綿業を中心とした初期の産業興隆から装置産業の発展が注目されている。また19世紀後半からの機械工業,石油産業,ついで化学工業の展開について,イギリスをはじめとするヨ-ロッパからの技術移転,アメリカ的なエンジニアリングの成立過程が明らかとなった。 とくに重点をおいて研究された問題点は以下のとうりである。 (1)アメリカ機械工業における大量生産方式の発展に対する軍需の役割とそれが工作機械工業に与えた影響 (2)アメリカン・システムの成立と生産管理及び労務管理の技術的な背景,とくにそこにおけるテ-ラ-に代表されるアメリカ機械技師協会(アメリカ機械学会)の役割 (3)二つの世界大戦とそれが科学技術政策に与えた影響 (4)ニュ-ディ-ラ-の経済政策と科学技術政策 (5)軍事先導型の大型プロジェクト研究の成立 (6)アメリカ議会の科学技術政策への関与 また,近年の日米関係にかかわる問題として、先端技術部門でのアメリカの役割について,当初計画に加えて検討した。 これらの結果、アメリカの科学技術上の業績の多くが、軍事研究開発とのつながりのなかで達成されたものであることが確認され、新しい国際関係のなかで、アメリカがどのように科学技術開発の体制を再構築していくかが大きな問題として残されていることが明らかになった。
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