研究課題
この研究の目的は、日本の近代化の諸側面を総合的に、かつ地域的視点を重視して孝察することにある。そのため、以下に述べるようなテーマを幅広く選択し、地域における個別調査と統計を活用した調査を並行して行なってきた。平成4年度には1月と9月に研究会をもち、それぞれの分担テーマを確認した。秩父地域・茨城県などを対象にした農業・農村の近代化。農山漁村における近代化終焉としての高度経済成長期の意義(石井担当)、酒税資料に基づく近代化期の地域的特性、近代移行期の都市化(黒崎)、近代化期における鉱業の発達と変質(田中)、近代化と宗教(大濱)、日本各地と韓国をフィールドとした、魚肥生産からみた日本の近代化(古田)、キリスト教や西洋医薬といった新文明受容における伝統的習俗との相克とその地域的差異(小口)、近代化期における鉄道と河川交通との関係(小野寺)、奈良盆地における明治期築造の溜池とその意味(伊藤)、近代におけ人口の持続的成長の開始時期とその地域的差異(川口)、明治中期の牛馬耕普及の地域的差異、近代化期における農業経営の変遷と変質(中西)、近代化期における那須野ケ原の開拓(椿)、今回のプロジェクトで新しく発掘した資料を含む、近代化期における利用可能な統計資料一覧の作成(石井・黒崎)。平成4年度には、前年に引き続き、各自が雑誌などで成果の公表に努めるとともに、未公表論説からなる報告書を作成した。ただし、上に述べた計画のうち、実現できなかった企画もいくつかある。しかし、私としては歴史地図の作成という目的に大きく近づいたと格信しており、既に発表した論考の改良や発表しえなかった論考の公表に努めるとともに、その目的な向かって努力を続けたい。
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