研究分担者 |
西村 哲一 名古屋市立大学, 教養部, 助教授 (80198506)
持田 辰郎 名古屋学院大学, 経済学部, 助教授 (30200330)
佐々木 周 北海道教育大学, 旭川分校, 助教授 (90133785)
村上 勝三 山口大学, 人文学部, 助教授 (80144905)
山田 弘明 名古屋大学, 文学部, 教授 (40106258)
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研究概要 |
1 本年度の対象は「第五省察」であったが,「交付申請書」の「研究の目的」とその「実施計画」とに記したところは,2回(昨年12月18日〜20日と本年3月2日〜3日と)の研究集会をもつことによって,すべてこれを実行に移した。この研究集会で合意された新たな知見は,「デカルトの〈神〉概念および〈神存在の証明〉は,〈無限(性)〉および〈必然(性)〉という概念を軸として,捉えられるべきである」,ということである。デカルトの〈神〉が〈無限なもの〉であることについては,固より從来も異論はなかったが,彼の〈神存在の証明〉の遂行のなかで,その証明を証明として成り立たしめるべく,〈無限〉の概念がどのように利いてきているか,という点,あるいは〈必然〉とか〈可能〉とか〈不可能〉とかいわゆる〈様相〉の概念がどのような働きをしているか,という点については,今日までのデカルト哲学研究では,必ずしも突っ込んだ解明が行われてはいなかったということ,それがわれわれのー新たなー共同的確認事項である。 2 研究代表者がー以上の共同研究と並行してー行いつつある『省察』(本文)の諸テクストの異同の檢討,すなわち,現行の流布本であるアダン・タヌリ版(AdamーTannery)のテクストとその初版本および二版本のテクストとの比較研究について言えば,ここでは,(1) アダン・タヌリ版のテクストの脚注にある『省察』の初版本と二版本のテクストとの相違点の指摘は,網羅的でないばかりか,その指摘それ自体に幾つかのー訂正が不可欠と思われるー誤りがあり,(2) アダン・タヌリ版のテクストは句読点の入れ方を全く現代風に改めてしまっているが,そのためにかえって,テクストそのものの読み方に疑義が生ずると思われる箇処も出てきている, という知見が新たに獲得された。来学年度中には成果を公表する。
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