研究分担者 |
福田 拓生 東京工業大学, 理学部, 教授 (00009599)
川久保 勝夫 大阪大学, 理学部, 教授 (50028198)
河内 明夫 大阪市立大学, 理学部, 教授 (00112524)
森田 茂之 東京工業大学, 理学部, 教授 (70011674)
松本 幸夫 東京大学, 理学部, 教授 (20011637)
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研究概要 |
プロジェクト公募による13件の研究集会を実施した。ICM '90以後,位相幾何学において,結び目理論および3次元多様体論は最も注目された分野である。この方面では,河野正晴・茂手木公彦による衛星結び目とそのコンパニオンの同型問題の解決,小林毅・西晴子による3次元多様体のHeegaard種数の特徴づけ(HassーThompson予想の解決),安原晃によるMathieuの問題の否定的解決等,本来の分野で重要な成果を挙げた。一方,量子群を用いた3次元多様体の不変量については,河野俊丈を中心に位相的量子場理論の数学的な定式化が進められ,たとえば,数学的には厳密に証明されていなかった。数理物理学におけるVerlindeの等式が,高田敏恵によって証明された。以上の研究の中心的推進者は殆んどが大学院生で,これに限らず20代の若手研究者の独創的成果がきわだっている。本研究の重要な目標である若手研究者の育成は期待以上の成果を挙げていると報告できる。前年度に引き続き,森田茂之,松本幸夫を中心とする曲面の諸相の位相的視点に基盤をおいた総合的研究はModuli空間のDeligneーMumfordのコンパクト化の位相的解明や,4次元多様体のエキゾチック構造の解明へと発展している。Floerホモロジ-については,吉田朋好,深谷賢治の精力的な仕事により,Floer以後の中心的位置にあるといえる。 一般的位相幾何学の分野では,後藤達二によるG.Chogishvillの定理の反例の構成が注目される。同定理はDranishnikovによるコホモロジ-次元に関する一連の定理の中でのFullーvaluedressの定理に用いられたもので,その反例は衝激的である。 位相幾何学の総合的研究は,現在,その本来の研究にとっても,また,他分野の発展にとっても不可欠になっている。
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