研究課題
総合研究(A)
最近の数学は物理学、特に場の量子論と量子統計力学の影響を色濃く受けている。必然的に、量子力学の影響下に誕生した作用素環は数学の他の多くの分野と密接な関係を深めながら、その時代の大きな流れの中に新分野を開拓していった。例えば、非可換力学系、非可換微分幾何学、因子環の指数理論、量子群等多くのものがある。この様な訳で、作用素環の最近の話題は数多くあり、今後発展しそうな、または、新しく誕生しそうな分野等これから為すべき事が沢山ある。平成2年度はICMー90のプレコングレスとして、8月15日より19日に奈良市で151名(国内78名,国外73名)の参加者を得て盛会に開催された。この研究会は国内外とも多くの若い研究者が参加しており、活発な討議をすることにより、多くの影響を与えた点で意義深いものである。平成3年度は、新潟大学で8月23日より24日に作用素環論研究集会を行った。この研究集会では9つの1時間講演を行ったが、奈良市でのプレコングレスの影響があらゆる所に見受けられ、活発な質疑応答を行った。例えば、単射的因子環上の群作用の分類問題、部分因子環に対して最小指数の定義とその特徴、グラフ理論と因子環の指数の関係など多くの話題に対して大きな貢献をしたように思える。この様に、上記の2つの研究集会で日本の若手研究者に与えた影響は大きい。従って、この研究による成果は計れ知れないものがあり、今後の作用素環の理論の発展に大きく貢献するものと思える。
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