研究分担者 |
野田 幸男 千葉大学, 理学部, 助教授 (80127274)
辛 埴 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (00162785)
中村 英二 広島大学, 理学部, 教授 (00000787)
石橋 善弘 名古屋大学, 工学部, 教授 (00023052)
冨永 靖徳 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (00013540)
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研究概要 |
1.研究班としての今年度の最大の活動は,11月に札幌で開催した第1回研究会である。共通の問題点の確認と今後の具体的な研究の打ち合せを行った。ちょうど日本滞在中のこの分野のdiffraction関係での最大の競争相手であるR.J.Nelmes(連合王国Edinburgh大)を招待して英語で講演討論を行い,欧州に我が国の研究の現状を伝えることが出来た。この他研究班以外の関係若手研究者も招待して討論に参加して貰い有益であった。 2.興味ある物質の研究がdiffractionグル-プから示された。M_3H(XO_4)_2(M=K,Rb,Cs;X=S,Se)に於て,H塩ではT=0まで相転移しないのに,D塩では100K周辺に相転移温度T_Cが上昇する。その差は結晶構造的には小さいが,HとDの周辺の電子の密度が2倍程度異なることが発見された。我々の課題である同位元素置換効果の研究の新しい展開といえる。この物質はH(XO_4)_2が1つの双極子単位を結成しており,水素結合networkのない0次元とも言える構造をしていること,Hの無秩序配置がT=0まで成立しているかどうか等の点で興味深々で,研究班での1つの攻撃目標となった。強弾性体となるTlH_2PO_4,反強誘電体となるNH_4H_2PO_4及びRS塩で水素以外にorderーdisorder構造をとる分子基の存在がdiffractionで検証された。 3.spectrumグル-プは典型的物質KH_2PO_4系統の物質での低周波数領域のモ-ドのassignmentを進め,歴史的に水素のtunnelingモデルの証拠とされているspectrumの解釈は否定されるべきであることを確定した。これ以外の水素結合型物質での臨界緩和モ-ドの存在も確認された。 4.誘電測定グル-プはプロトンglassと呼ばれる非平衡な相での誘電分散の測定を氷,Rb_<1ーX>NH_<4X>H_2PO_4で行った。これは研究班には新しい問題を提供している。理論家はこれらの結果の検討に入っている。
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