研究分担者 |
松原 武生 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60025202)
重成 武 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (90017335)
池田 進 高エネルギー物理学研究所, 助教授 (80132679)
野田 幸男 千葉大学, 理学部, 助教授 (80127274)
冨永 靖徳 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (00013540)
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研究概要 |
1.本年度の最大の収穫は,この研究班の目的の1つである水素のtunnelingの存在の可否を決定する原理的に優れた方法が提案され,実験結果が得られたことにある。高エネルギ-物理学研究所の池田らを中心としたグル-プが中性子非干渉性(非)弾性散乱を用いると,tunnelingと確率的運動の区別が可能であることに気が付き,直ちにKH_2PO_4とK_3H(SO_4)_2で実験された。結果は我々の予想通りtunnelingの存在は否定された。 2.spectrumグル-プは,KDP型の結晶での赤外,Raman,hyper‐Ramanの自ら測定したdataを揃え,中性子非干渉性非弾性散乱の結果も併せて各モ-ドのassignmentの最終版をまとめている。特に1のtunnelingモデルの否定,つまり臨界緩和モ-ドの存在が基本でありという立場で,全て矛盾なく説明できそうで,この点も当初の期待に答えが出つつある。 3.構造解析グル-プの研究ではM_3H(D)(XO_4)_2 (X=S,Se)系で系統的な整理が進んだ。水素結合の長さ○-○距離と相転移温度との関係ー我々の提唱した幾何学的同位元素効果ーだけでなく,周囲の原子の幾何学的配置がH→D置換,圧力で変化することが整理されてきた。問題は水素(またはD)と電子と結晶格子の系のダイナミクスという難しい問題に帰着されつつあり,理諭家の課題となった。 4.研究会の開催;研究班としての打ち合せ会を9月終わりに札幌で,研究会を11月終わりに箱根で開いた。研究会では当初予定通り強誘電体及び固体の相転移一般の関係者を招待して講演を依頼して,研究班の課題を深めると共に,班員外からの研究班への批判をいただいた。
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