研究課題
伝熱過程を含む問題の多くは複数の伝熱場が結合した複合系であり、その数値解析には、それぞれの伝熱場に特有な専門的な数値計算とともに、その有機的な結合総合化が必要である。したがって、一人の研究者がすべての伝熱系を連立させて解析することは難しく、複数の専門の研究者による並列分散化によるシステム的な数値解析が要求される。本研究は、このような見地から、複合系を構成する個々の伝熱場を専門的に分割分散し、随時その境界条件を結合させながら並列計算を行い、結果として全体的な計算を完結するシステムを構築し、それを用いて具体的な伝熱現象の数値解析を行うことを目的とする。本年度においては、このような各分散場の境界条件を大学間ネットワ-クにより交換しながら、各研究者が最も得意とする分散伝熱場の伝熱計算をトランスピュ-タを用いて行って、一つの並列分散型の大規模熱流動解析システムの研究開発を行った。すなわち、各研究者は、各自の熱伝導、強制・自然対流、〓射、相変化の分散伝熱場の数値解析システムについて、(1)インサ-ネットによりJUNETシステムを通して境界条件を交換できるようにするとともに、(2)トランスピュ-タを用いて個々の分散伝熱場の並列計算を行った。さらに、全体としては、(3)これらの結果を結合し総合化するシステムを検討し、複合伝熱問題の数値解析の予備的な研究を行った。