研究分担者 |
井上 一朗 大阪大学, 工学部, 助教授 (40029294)
中村 武 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (20027254)
辻 文三 神戸大学, 工学部, 教授 (70031101)
松井 千秋 九州大学, 工学部, 教授 (00037756)
黒羽 啓明 熊本大学, 工学部, 教授 (30040372)
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研究概要 |
本総合研究は、(1)既往の実験デ-タ・数値解析デ-タを収集・整理し、軸力と曲げを受ける鋼柱の耐力と変形能力に及ぼす各因子の影響度を明らかにすること、(2)新材料の低降状比高張力鋼を用いた柱材の挙動が普通鋼の場合とどのように異るかを調べること、(3)鋼柱の耐力・変形能力に関する精確な予測式を確立すること,などを目的としている。平成2年度はまず既往のH形鋼柱の実験結果を整理してデ-タベ-スを作成し,軸力比・細長比・相対水平変位の有無・モ-メント勾配・材料の降状比などのパラメ-タの鋼柱耐力に対する影響度を調べるとともに,日本建築学会・鋼構造限界状態設計規準(案)による鋼柱耐力評価式の精度を検討した。この結果,降状比やモ-メント勾配の違いによる実験耐力と評価式による予測耐力の比の変動解析から,ひずみ硬化の影響が少くないこと,実験耐力は学会規準式が想定する予測耐力を,平均で15%程度上回っていること,などの知見を得た。 一方実験は,降状比が約0.75,引張強度が60kgf/cm^2の鋼材を用いて,局部座屈・構面外座屈を生じにくいH形鋼柱(溶接組立断面:BH140×140×6×6,BHー125×125×9×12,BHー250×250×12×16,細長比:20,30,40)、円形鋼管柱(φ165.2×4.5,細長比20)および冷間成形角形鋼管柱(□ー150×150×4.5,□ー150×150×6,細長比20)に,一定軸力と単調あるいは繰返し水平力を,ならびに相対水平変位なしで数種のモ-メント勾配を加える実験を行って,鋼柱の基本的弾塑性性状を調べた。この実験から,普通鋼を用いた場合より局部座屈の発生が早まり,局部座屈発生時の存在応力が大きく座屈後の劣化が急であることなどが観察されたが,局部座屈の影響が大きくない今回の実験では,構面外変形が誘発されることもなく,変形能力・エネルギ吸収能力とも普通鋼を用いた場合と遜色ない結果が得られた。
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