研究課題/領域番号 |
02302072
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
森野 捷輔 三重大学, 工学部, 教授 (00027278)
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研究分担者 |
井上 一朗 大阪大学, 工学部, 助教授 (40029294)
中村 武 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (20027254)
辻 文三 神戸大学, 工学部, 教授 (70031101)
松井 千秋 九州大学, 工学部, 教授 (00037756)
黒羽 啓明 熊本大学, 工学部, 教授 (30040372)
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キーワード | 鋼柱 / 耐力 / 変形能力 / エネルギ吸収能力 / 低降伏比 / 高張力鋼 / H形鋼 / 鋼管 |
研究概要 |
本総合研究の目的は、(i)既往のデータを収集・整理し、鋼柱の耐力と変形能力に及ぼす各因子の影響度を明らかにすること、(ii)新材料の低降伏比高張力鋼を用いた柱材の挙動が、普通鋼を用いた場合とどの様に異なるかを調べること、(iii)鋼柱の耐力・変形能力に関する精確な予測式を確立すること、などである。平成4年度はH形鋼柱および角形鋼管柱の実験を行って鋼柱の耐力と変形能力に関する総括を行った。局部座屈あるいは曲げねじれ座屈が優先する、低降伏比高張力鋼および普通鋼を用いたH形鋼柱に梁を配したL形ラーメンに、一定柱軸力と単調載荷水平力を加える実験からは、(1)高張力鋼柱の局部座屈や曲げねじれ座屈は普通鋼柱と比べて早期に発生し、耐力劣化の勾配も激しく脆性的であること、(2)既往の耐力相関曲線の実験結果に対する安全側誤差は高張力鋼柱の方が普通鋼柱の場合より大きいこと、(3)劣化域を持つ応力ーひずみ関係によって局部座屈を考慮した解析の結果が精度良く実験結果を追跡すること、などがわかった。一方、柱軸力比、角形鋼管幅厚比、コンクリート充填の有無を変数とした、一定軸力と繰返し水平力を受ける低降伏比高張力鋼角形鋼管片持柱の実験からは、(1)中空の角形鋼管柱では一般化幅厚比が1.4程度以内であれば、ほぼ全塑性耐力を期待できること、(2)コンクリート充填角形鋼管柱では一般化幅厚比が4程度までは、鋼管の降伏応力度とコンクリートのシリンダー圧縮強度から計算される全塑性耐力が期待できること、(3)耐力・変形能力に及ぼすコンクリート充填の影響は、幅厚比・軸力比が大きくなるほど顕著になること、などがわかった。また、中空およびコンクリートを充填した小型角形鋼管柱を用いた中心圧縮座屈実験からは、(1)中心圧縮耐力は接線係数理論によって精度を良く予測できること、(2)材長の幅に対する比が約17以下の中空鋼管柱では局部座屈の影響が表れること、などがわかった。
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