研究概要 |
板材の逐次成形装置を製作し,種々の成形経路を与えて実験を行い,成形可能な形状,最適経路,成形限界及び成形精度を明らかにし,さらに成形限界と成形精度を向上させる方法を開発する。平成2年度ではボ-ルロ-ラ-による逐次張出し成形装置の試作と予備実験を行ったが,平成3年度ではこの成形法の成形特性の整理,適用範囲の拡張,精度の改善及び変形解析を試み,以下の知見を得ている。 1.成形特性の整理(1)正四角錐台シェルの張出しでは,成形限界となる最大張り出し高さは逐次成形ピッチと逐次成形経路の影響をほとんど受けないが,正四角錐シェルではそれらの影響を大きく受ける。(2)正四角錐台シェルの成形におけるスプリングバックは逐次成形ピッチが小さいほど小さくなるが,渦巻き状経路の場合には負のスプリングバック現象が見られた。(3)逐次接触変形を受ける金属板の破断限界線はほぼ直線になり,焼鈍板の場合には勾配がほ窪-1になる。 2.適用範囲の拡張(1)エンボスや模様付け加工は厳しい精度を要求しなければ十分可能であり,バックアップダイスを用いるとかなり精度が向上する。(2)バックアップダイスを使用すると成形精度が向上する。(3)縮みフランジ及び伸びフランジ成形ではバックリング現象が生じやすく,また成形精度も良くない。 3.精度の改善(1)逐次成形ピッチを小さくすると成形精度が向上する。(2)張出し製品を逆にし,外側表面を再成形すると成形精度と表面性が格段に向上する。 4.変形解析 ボ-ルロ-ラ-の逐次張出し成形のFEM解析を行い,ボ-ル径とひずみ硬化係数が小さいほど成形シェルにひずみ集中が起こりやすくなり,最大張出し高さが小さくなるという計算結果を得ている。
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