研究分担者 |
山下 康男 佐賀県有明水産試験場, 場長
石橋 信義 佐賀大学, 農学部, 教授 (30039333)
飯盛 喜代春 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50039244)
瀬口 昌洋 佐賀大学, 農学部, 助教授 (20093974)
加藤 治 佐賀大学, 農学部, 教授 (40038295)
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研究概要 |
平成2年度の研究実施計画に従って得られた主な知見を要約すると,次のようになる。 1.潟土の形成を左右するSS(懸濁物質)の沈降特性は,海水の塩分濃度により大きく左右される。さらに,その沈降特性の差異は,沈積土のレオロジ-的特性にも大きく影響する。しかし,いずれの状況のもとでも,沈積土の流動曲線は非ビンガム性を示す。 2.特に海底干出前後に波浪が発生した場合,潟土(底泥)の激しい巻き上げが発生する。この時の最大巻き上げ量は10数g/m^2/s,また水平方向の最大浮流量は数100g/m^2/sである。さらに,SSの輸送過程を左右する海底付近の乱流拡散係数は1〜数10cm^2/sである。 3.高濁度と塩分濃度変化の大きな干潟域海水中の微量リン酸イオンの迅速定量に適したFIA法の開発を行った。特に,この方法はリン酸イオン濃度2.0ppm以下では高精度かつ迅速な分析を可能とする。 4.窒素及びリン化合物の濃度は河川及び河口域では高いが,逆に海域では低い。これは潟土の巻き上げに起因するSSの捕捉効果によるものと考えられる。また,珪藻類の生産と密接な関係にある珪酸化合物(珪酸イオン,コロイド状珪酸)についても同様な傾向が見られる。 5.浅水域潟土において、7目46種の線虫が検出された。特にMonhysterida目(46%),Chromadorida目,Enoplida目の3目で全体の90%以上を占めた。また,個体数は170〜200万頭/m^2と推算された。 6.有明海奥部75地点でのムツゴロウ個体数目視観測の結果,全域での平均密度は1.99尾/100m^2であった。前回(1988年)と今回の観測結果の比較により,筑後川〜六角川河口の東部では40%の減少,一方六角川河口より西部では約10〜600%の増加であった。また,代表的な高地盤干潟生物であるアゲマキの生態の一端も明らかにされた。
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