研究分担者 |
田中 道義 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (90004291)
山本 昭二 無機材質研究所, 第11研究グループ, 主任研究官
平賀 賢二 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30005912)
松本 たけ生 金沢大学, 理学部, 教授 (20019467)
小川 泰 筑波大学, 物理工学系, 教授 (10025364)
|
研究概要 |
本研究は平成2年10月末に採択され、以後17箇月にわたり実行された。この間の成果は1.分担者の個別あるいは共同研究により得られたものと、2.分担者その他を集めて開催された2回の研究会である。 1.では(1)各相インコメンシュレ-ト相、準結晶、非晶質物質等の構造の研究、(2)構造の特性・物性と次元拡張の要因の検討、(3)高次元における対称性の研究を目指した。(1)のインコメンシュレ-ト相の構造では、Ca_2CoSi_2O_7、Bi系酸化物高温超伝導体、チタン酸ジルコニウム等の構造が解明された。また基礎的な問題では、インコメンシュレ-ト相として扱われる複合結晶の構造解析のためのコンピュ-タプログラムの開発、収束電子回折法による4次元空間群の決定法の確立が行われた。準結晶では、高分解能電子顕微鏡によるAlーNiーCo,AlーCuーCo系の構造の解明、X線回折によるAlーCoーNi,AlーCuーLi系の構造の解明が行われた。非晶質物質については、Ca(Mg,M)(Si,Al)_2O_6(M:Mn,Fe,Co,Ni)系ガラスの構造中の遷移金属元素の配位状態がX線回折・EXAFSで解明された。また各種アルコ-ルー水系液体の研究がX線小角散乱法により行われ、各種ゆらぎを求めるための方法の定式化とその上記系への適用が行われた。(2)の研究では、グラフ測地線と言う新しい概念が提出され、それを用いて準結晶等の非周期性物質に関連の深い各種ペンロ-ズ図形に内在する規則性の研究が行われた。これは準結晶に内在する規則性の理解に有力な手段と考えられる。(3)では、複合結晶構造の超空間群、特別結晶軌道(NCO)の研究、結晶点群の統計、楕円充填の性質、などに関する研究が行われた。 2.では、平成3年1月に分担者を主とした第1回研究会、平成4年2月には分担者の他に変調構造の若手研究者を国内からひろく集めた第2回研究会を開催し、活発な発表・討論が行われた。第2回に行った変調構造研究に関する集まりは、国内では最初のものである。
|