研究分担者 |
小畑 正明 熊本大学, 理学部, 教授 (20126486)
小松 正幸 愛媛大学, 理学部, 教授 (00018665)
蟹沢 聰史 東北大学, 教養部, 教授 (70005784)
田切 美智雄 茨城大学, 理学部, 教授 (50007829)
坂野 昇平 京都大学, 理学部, 教授 (30019468)
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研究概要 |
第2年度にあたる本年度は,9月下旬に弘前大学において,研究分担者と研究協力者(大学院学生)に内外の特別参加者を加え,研究集会を開催した。各研究分担者・協力者のその席上報告された研究を含み,本年度に行われた研究の一部について以下に概述する。なお,本総研での現在までの研究成果の一部は,平成4年春に月刊「地球」誌に2号分にわたり“高温変成作用とミグマタイトの形成"の特集として掲載の予定である。 1 我が国の代表的な高温型変成帯である日高,阿武隈,領家,飛騨および肥後(分担は裏面参照)の各地において,高温域の変成岩類についてXRF,ICP,EPMAなどの機器を駆使し,変成帯内における物質移動現象の解析に必要な地球化学的側面からの基礎デ-タを蓄積された。他方では,相平衡の関係が解析された。 2 日高,阿武隈,肥後の各変成帯にて部分溶融現象の証拠が見出された。日高帯では,優白質プ-ルなどでの斜長石の振動的組成累帯構造の存在などおよび多数の全岩の主要・微量元素の挙動についての地球化学的考察から泥質変成岩の部分溶融が確認された。また,阿武隈帯の泥質変成岩に部分溶融が生じた証拠として,ザクロ石の特殊な組成変化が挙げられ,さらに角閃岩の部分溶融によるメルトの生成,そしてメルトの分秘・分化ならびに花崗岩質マグマの形成が具体的なデ-タに基づいて実証された。肥後帯下部では,泥質変成岩の部分溶融によりパ-アルミナスな花崗岩質メルトを生じ,それは移動しやすい比較的深部では浸入ミグマタイトの優白質部や板状優白質花崗岩として,移動しにくい浅部ではレンズ状〜団塊状花崗岩質岩体として固結した。 3 S型花崗岩質マグマの発生に関する各種変成岩の溶融実験が行われるとともに,第三紀その他の時代の花崗岩質貫入岩体の調査・研究が実施され,火成岩岩石学の側面からの花崗岩質マグマの成因的考察が行われた。
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