研究分担者 |
田切 美智雄 茨城大学, 理学部, 教授 (50007829)
小畑 正明 熊本大学, 理学部, 教授 (20126486)
小松 正幸 愛媛大学, 理学部, 教授 (00018665)
蟹澤 聰史 東北大学, 教養部, 教授 (70005784)
坂野 昇平 京都大学, 理学部, 教授 (30019468)
|
研究概要 |
1.日高変成帯における多量のS-タイプのトーナル岩類は,日高変成作用最盛期に地殻深部での泥質変成岩類の大規模な部分溶融(アナテキシス)により生じたメルトより形成された。量的には少ないが,変成帯の最下部では苦鉄質組成のアグマタイトやネビュライトなどのミグマタイト類が存在し,それらの母岩をなす苦鉄質グラニュライトや角閃岩がさらにトナール岩に取り込まれた複雑な産状を示す。この現象は、角閃岩の部分溶融が生じており,それは泥質変成岩類の部分溶融よりも高温で始まったことを示している。 2.阿武隈変成帯「竹貫変成岩」に属する角閃岩の一部に,部分溶融現像が観察される。それは,角閃岩中にネットワーク状に入りこんだ斑れい岩〜トーナル岩〜トロニエム岩質の細脈として出現し,ソレアイト起源の角閃岩の部分溶融によるカルクアルカリ質のメルトの形成と分化作用のプロセスを示すめのである。 3.肥後変成帯の南部地域では,約900℃で7kbarのグラニュライト相の変成作用を受けている。そこでは,パレオゾーム(優黒質部)とリューコゾーム(優白質部)からなる種々のミグマタイト類が存在する。これらは,泥質変成岩の部分溶融によるメルトが関与して形成された。泥質グラニュライトの溶融実験結果は,この地域のパーアルミナスなトーナル岩が部分溶融の結果メルト(20〜80wt%)と残留固相(斜方輝石,菫青石,斜長石)の混合により形成されたことを示唆する。 4.上記の知見を含む高温(主にグラニュライト相)変成作用,およびミグマタイトの形成に関連する地殻深部における泥・砂質変成岩類あるいは苦鉄質岩類の部分溶融に焦点を合わせ,月刊「地球」誌の平成4年度5月号および11月号にわたり「高温変成作用とミグマタイトの形成」の特集号を刊行した。
|