研究分担者 |
石和 貞男 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017205)
戸張 よし子 東京都立大学, 理学部, 教授 (20087125)
高畑 尚之 国立遺伝学研究所, 集団遺伝部, 助教授 (30124217)
太田 朋子 国立遺伝学研究所, 集団遺伝部, 教授 (80000256)
木村 資生 国立遺伝学研究所, 集団遺伝部, 名誉教授 (20000226)
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研究概要 |
本研究では適応進化の分子機構に関して,実験的・理論的研究を行いこれに関する総合的な知見を得ることを目的とする。特に実験面では様々な遺伝子の特に調節領域において適応的な変化を見出すことに重点が置かれた。キイロショウジョウバエを用いた実験では,山崎はアミラ-ゼ遺伝子の調節領域の特にグルコ-スリプレッション領域の多型と自然選択との関係を調べた。山崎と高野はヒ-トショック遺伝子の発現量について,ヒ-トショックを与えた時の転写mRNA量に自然集団内に有意な変異がある事を見出した。原田はP因子の分布を生存力に関して非常に様相の異る日本の二集団について調べ,活性のある因子の分布に違いがある事を見出した。宮下はyーacーsc領域の種内および種間の変異をDNAレベルで調べた。日下部はeyeless突然変異Nanjoについて調べ,これがある種のトランスポゾンによって誘発される事を示した。石和はミトコンドリアDNA多型の研究をさらに進めた。戸張はアナナスショウジョウバエにおけるrDNAスペ-サ-領域の変異に関する研究を行った。広吉はイエバエの性決定機構に関する研究を行った。理論的研究に関しては木村は最近のDNAレベルのデ-タをもとに中立説の妥当性と種分化及び表現型進化への適応について論じている。太田は弱有害遺伝子が相補的に働く場合の中立モデルについて論じた他,多重遺伝子族の集団内多型維持機構について検討した。高畑は遺伝子系統樹学及びMHCの多型について解析した。舘田はタンパク質進化に関する遺伝的浮動と弱選択効果を取り入れたモデルのコンピュ-タシミュレ-ションを行った。田嶋は異る系統の間で等しい塩基置換率を仮定することなく再編された系統樹の枝の長さの標準誤差を推定する統計的方法を開発した。全体を通して実験面では分子レベルのデ-タが更に蓄積されるとともに,理論面では実験デ-タを重視した解析法の開発にも努力がなされた。
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