研究概要 |
この総合研究は,日本に分布する花崗岩マイロナイトを記載し,その形成機構を明らかにし,形成に関ったテクトニクスを明らかにすることを目的とするものであった。飛騨帯の巨大花崗岩マイロナイト帯の形成に関るテクトニクスは,小松(1992),原(1992)によって行れた。マイロナイト帯の形成は,2期,宇奈月変成岩上昇期,船津花崗岩貫入期にわたって行れたことが明かにされ,その運動像が検討された。領家帯では中央構造線に沿って発達するマイロナイト帯が,原(1992),宇井・横山(1992),高木(1992),竹下(1992)によって研究された。マイロナイトは水平配置の巨大勢剪帯であること,その運動の実体が,白亜紀の花崗岩活動期から日本海拡大期までをとうして検討された。阿武隈一北上帯の巨大花崗岩マイロナイト帯は,越谷(1992),原(1992)によって研究され,鉛直配置の左横ずれ剪断帯として形成されていることが明らかにされた。日高帯の巨大マイロナイト帯は豊島(1992),豊島・原(1990)によって研究されている。マイロナイト帯は,水平配置の剪断帯として,2期,MORB近似のマグマの貫入を伴う時期,カルクアルカリ岩系のマグマの貫入を伴う時期,カルクアルカリ岩系のマグマの貫入を伴う時期にわたって発達した後,この水平配置の花崗岩貫入帯を鉛直配置へ変位させるテクトニクスの下で形成された(=日高西縁マイロナイト帯の形成)。グリンタフ地帯の糸静線に沿う巨大マイロナイト帯は,小坂・滝沢(1992),滝沢・小坂(1992),嶋本(1992)によって研究され,その運動像,微細構造が明かにされた。花崗岩マイロナイトの微細組織・構造・その形成機構,運動像,形成に関る応力の見積もりなどの一般的問題は,増田ら(1992)・滝沢・小坂(1992),原ら(1992),姜ら(1992),越谷(1992),嶋本(1992)によって解析された。最終年度はシンポジウムで問題が討議され成果の論文として公表が行われた。
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