研究分担者 |
縣 和一 九州大学, 農学部, 教授 (00091364)
津野 幸人 鳥取大学, 農学部, 教授 (00036287)
石原 邦 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014925)
山崎 耕宇 東京大学, 農学部, 教授 (30011878)
長南 信雄 茨城大学, 農学部, 教授 (90005603)
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研究概要 |
根系に対するストレスを中心として,個体の発育の可変性を検討した.根系形質から根の伸長速度に注目し,従来の研究で耐旱性程度の明かな水陸稲40品種を選び,種子根の伸長速度の遺伝的変異をガラス壁面法で調査した.その結果,大きな品種間差異の存在を認めると共に,耐旱性程度の大きな品種は種子根の伸長速度及び貫入深度の両者において優れることを確かめた.また異なる条件下で生育させた水稲の種子根根系の各種形質を計量形態学的に調査し,それらの可塑性を検討した結果,湛水土壌中で生育した種子根の根系形質の表現型変異は小さく,遺伝子型の違いは不明瞭となることを認めた.このような根系形質の可変性の検討とともに,根系の生理活性と地上部の光合成活性との関連を調べた.各種のストレスを与えて水稲の根系の呼吸活性を低下させ,葉身への水供給を減少させると,気孔開度の減少と平行して葉内の水分も過剰となり純光合成能も低下した.このことから,葉内における過剰な水の存在は葉肉組織内のガス交換面積を減じ,光合成活性を制限すると推論した.しかし根系の生理活性の低下は,二酸化炭素固定化速度にも影響することも考えられるので,気孔の影響を除去した条件下での光合成活性を調べるために,サツマイモ葉を用いて新たに開発した表皮剥離法によって実験を行なった結果,気孔の影響の無いばあいの二酸化炭素固定反応系のポテンシャルは著しく高いことを認めた.光合成は,さらに根で生産されるサイトカイニンによっても影響される.サイトカイニン様物質の生成量と光合成能との定量的な品種間比較を行い,その生成量の高い品種では葉身の老化が抑えられることを確かめた.
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