研究分担者 |
縣 和一 九州大学, 農学部, 教授 (00091364)
津野 幸人 鳥取大学, 農学部, 教授 (00036287)
石原 邦 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014925)
中世古 公男 北海道大学, 農学部, 教授 (80001452)
長南 信雄 茨城大学, 農学部, 教授 (90005603)
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研究概要 |
耐旱性大の陸稲品種の耐旱性小の水稲品種間の交配実験から、水通導抵抗に関与する導管直径,種子根長やL型側根数などの耐旱稲関連根系形質の広義の遺伝率は約60ー80%であることを確かめ、イネの耐旱性育種にこれらの根系形質が利用可能であることをはじてめ示した。また根と地上部の生長の異なるバレイショの品種間の相反接木植物を作成し、地下部と地上部間の機能的関係を調べた結果、根長の大いきものは、土壌の乾燥による蒸散、光合成及び乾物増加速度の低下が少なみ、地下部の生長反応が地上部の機能を支配していることを認め、バレイショ育種における導入形質としての根系の重要性を提起した。一方,作物根の下皮,皮層内厚壁組織,内皮等の保護組織の発達は,リグニン蓄積を端うが,それらの組織の発達は作物の耐湿・耐旱性と密接に関連し,、その種の不適な水ストレス条件によって、その向頂的発達パターンを変化させつつ環境に適応する体制を取ることが明となった。さらに水ストレスに対する反応は地上部にも顕著に現れ、イネとトウモロコシの葉緑体の周辺網状体は、強度の乾燥ストレスによって葉緑体包膜の内側に発達することを確かめた。このような光合成に関連する適応的変化はサツマイモの場合、細胞膜安定性とも密接に関連し、葉肉細胞と表皮細胞の水ポテンシャルが高く維持されるものでは膜安定性も高く、気孔開度、CO_2固定活性を高く維用し、光合成速度を高めることが明かとなった。また根で産生される植物生長調整物質は地上部の機能を制御することが知られているが、出穂期のコムギの穂切除実験によって、気孔の閉鎖が誘起され、根の溢泌活動の盛んとなる夕方における光合成の低下の増大を誘導したことから、根でも生産されるABAの関与を間接的に示唆する結果をえた。また根系構造の定量的表示法としてマメ科作物の根系のフラクタル解析を行い、生長にともなってその次元が増加することを確かめた。
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