鳥類における産卵制御機構の内分泌学的研究ー分子生物学の視点から

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02304027
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 佐藤 孝二 名古屋大学, 農学部, 教授 (60023420)
• 研究分担者: 森 誠 静岡大学, 農学部, 助教授 (90143411) ; 今井 清 日本大学, 農獣医学部, 教授 (90023423) ; 田名部 雄一 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021679) ; 田中 克英 岐阜大学, 農学部, 教授 (20021678) ; 島田 清司 名古屋大学, 農学部, 助教授 (40065579)
• キーワード: 産卵 / 光周性 / 繁殖季節 / ステロイド / 就巣 / ニワトリ / ガチョウ / ウズラ

研究概要

各自当初に計画した線にそって実験を進めた。本年度の研究経過は次のとおりである。
I.佐藤は、1986ー1990年の資料を整理し、カワウの繁殖期と繁殖性について考察した。島田は、ブンチョウの繁殖が秋から冬の短日型であることを血中性ステロイドの変動から明確にした。
II.泉は、ガチョウの産卵・就巣・休産・換羽と血中の性ステロイドとプロラクチンを関連づけて調べた。また、ガチョウは卵殻の形成に2日を要することをX線撮影により証明した。田中(耕)は、in vitroの条件下で、プロスタグランジンが排卵を誘起することを示唆した。今井は、放卵にも、プロスタグランジンと卵胞ステロイドが関与するとした。田中(克)は、卵管子宮部のバソトシンレセプタ-の性質を調べ、最大結合部位数を求めた。森は、顆粒膜細胞の長期培養の条件を確立した。
III.今井は、クラッチの継続性は卵巣自身が決めると考えた。和田は、ウズラの繁殖の年周期について検討し、産卵の停止には温度が関与し、温度低下に伴う甲状腺ホルモン(T_3)の上昇による結果としている。島田は、就巣期におけるプロラクチンmRNAの動態を明らかにした。田名部は、メラトニン血中ステロイドの日周リズムを検討した。
以上について、班員は鳥類内分泌シンポジウム(10月20ー21日、広島大学)において進行状況を説明し、意見を交換した。

研究成果

• [文献書誌] Shimada,K.,Ishida,H.,Sato,K.,Seo,H.and Matsui,N.: "Expression for prolactin gene in incubating hens." J.Reprod.Fert.91. 147-154 (1991)
• [文献書誌] Ishida,H.,Shimada,K.,Sato,K.,Seo,H.,Murata,Y.,Matsui,N.and Zadworny,D.: "Developmental expression of the prolact in gene in the chicken." Gen.Comp.Endocrinol.(1991)
• [文献書誌] Shimada,K.,Neldon,H.L.and Koike,T.I.: "Effects of saline infusion on plasma levels of vasotocin (AVT) and mesotocin in laying hens (<Gallus>___ー <domesticus>___ー)." Jpn.Poult.Sci.(1991)
• [文献書誌] 佐藤 孝二,富田 文子: "カワウの繁殖性ー美浜個体群" 東海畜産学会報. 1. 27-32 (1990)
• [文献書誌] Nakada,T.and Tanaka,K.: "Possible selection of the ovipositionーinducing factor after oviposition of the terminal egg of a clutch sequence in the domestic fowl." Jpn.J.Zootech.Sci.61. 428-432 (1990)
• [文献書誌] Wada,M.,Hatanaka,F.,Tsuyoshi,H.and Sonoda,Y.: "Temperature modulation of photoperiodically induced LH secretion and its termination in Japanese quail(<Coturnix>___ー <coturnix>___ー <japonica>___ー)." Gen.Comp.Endocrinol.(1991)
• [文献書誌] Hasegawa,C.,Tomogane,H.,Yokoyama,A.and Shimada,K.: "Roles of endogenous estradiolー17β in the synthesis of prolactin in the pituitary of developing rats." Kyoto Prolactin Conference Monograph(Hoshino,K.ed.)5 Shinko Printing Co.,Ltd.Kyoto., 148-157 (1990)
• [文献書誌] Ohkubo,T.,Tanaka,M.,Nakashima,K.,Shimada,K.,Saito,N.and Sato,K.: "High level expression of the chicken prolactin in <E.coli>___ー." Kyoto Prolactin Conference Monograph (Hoshino,K.ed.) Shinko Printing Co.,Ltd.Kyoto., (1991)