研究概要 |
本研究班は、代表的なイオンチャネルの構造と機能の解明と新しいイオンチャネルの発見がなされる状況下で,細胞内外の多岐にわたるイオンチャネルの修飾因子をモジュレ-タ-という概念でとらえ、その特殊性と一般性を理解するために組織された。 今年度は、新しい実験技術の開発と新しいイオンチャネルの同定と開閉機構の分析に主力を注いだ。 1)膜電位固定下での急速外液交換技術,細胞膜電気容量と伝導度の新しい同時測定法、共焦点顕微鏡による細胞内Ca^<2+>測定法などの新しい実験技術が完成した。 2)胃の壁細胞や唾液腺細胞において新しいタイプのK^+チャネルやカルバコ-ルにより活性化されるCa^<2+>依存性K^+チャネルやCl^ーチャネルなどの新しいイオンチャネルが発見された。又、イオンチャネルの開閉の制御機構として、心筋の異常整流性K^+チャネルやNa^+活性化K^+チャネルのMg^<2+>による阻害機構、平滑筋細胞に於けるCa^<2+>依存性K^+チャネルの制御機構,海馬ニュ-ロンでのATPによる燐酸化を介しないGABA_AーClチャネルの制御機構、自律神経節ニュ-ロンに於けるCyclic GMPによるClーチャネルの制御などが明らかになり、さらに神経や骨格筋細胞の発達期に於ける種々のイオンチャネルの発現様式が解明された。 以上の結果、及び軸索軸送やイオンチャネル蛋白の形態学的分析などの研究成果が、平成2年9月20ー22日,3日間にわたり、佐賀県唐津市で行なわれた班会議で発表され,活発や討論がなされ,次年度へ向けての各分担研究の指針となった。
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