研究課題/領域番号 |
02304033
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
眞崎 知生 京都大学, 医学部, 教授 (60009991)
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研究分担者 |
矢崎 義雄 東京大学, 医学部, 教授 (20101090)
戸田 昇 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50025590)
平田 恭信 東京大学, 医学部, 助手 (70167609)
平 則夫 東北大学, 医学部, 教授 (60004553)
後藤 勝年 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30012660)
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キーワード | 血圧 / エンドセリン / 血管拡張 / 血管収縮 |
研究概要 |
エンドセリンをラットの血管内に投与すると一過性の血圧下降にひき続いて、一過性の昇圧反応がおこり、それに引き続いてきわめて長時間持続する血圧の上昇が見られ、これはカルシウム拮抗薬である程度抑制される。この特続的血圧上昇はin vitroでの血管収縮に対応すると考えられた。さらに、その後の研究の進展により、この全身血圧反応は血管の種類、あるいは動物の種類によって様々であることが分った。そこで本研究計画ではこの複雑な血圧反応をエンドセリンの細胞レベルにおける反応から全身循環への影響までと広い範囲で調べその反応の機序を調べることを目的とした。また血中エンドセリン濃度を測定することにより、エンドセリンの生理的意義をあきらかにすることを目的とした。そのためにそれぞれのエキスパートによってそれぞれのレベルにおけるエンドセリンの薬理学的効果が検討されこれを持ち寄って検討を行った。 この研究計画と平行して世界的な規模でエンドセリンの循環系への影響の研究が行われた。これらを総合し検討を重ねた結果、エンドセリンの血圧調節に関してはエンドセリンは循環ホルモンではなく、局所ホルモンであることがあきらかとなった。さらに現在までにあきらかになった2種のエンドセリン受容体の中ETa受容体が特に末梢の抵抗血管の動派上に多く存在し、その結果、抵抗血管がエンドセリンに敏感であり、エンドセリンによる全身血圧の上昇はこれによるものであることが推察された。さらに最近、内皮で産生されたエンドセリンは基底膜側に選択的に放出されること、また血管の実質組織におけるエンドセリンの産生がかなり上昇していてもエンドセリンの血中濃度が正常と変わらないことなどがわかり、局所ホルモンとしてのエンドセリンの血管のトーヌス維持の役割が注目されるようになってきた。さらに末梢ではセロトニンなどの血管活性物質との相互作用があり、これらによって循環動態がさらに復雑になっていることが示された。
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