職業性アレルギ-の発生機序と予防対策に関する総合的研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02304038
• 研究機関: 鹿児島大学
• 研究代表者: 松下 敏夫 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10022790)
• 研究分担者: 野村 茂 労働科学研究所, 主管 (80040137) ; 森本 兼曩 大阪大学, 医学部, 教授 (20143414) ; 島 正吾 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 教授 (40084511) ; 桜井 治彦 慶応大学, 医学部, 教授 (70051357)
• キーワード: 職業性アレルギ- / 感作性物質 / ライフスタイル / 金属 / シラン / コバルト / パッチテスト / 免疫毒性

研究概要

前年度に引き続き下記の事項について検討を行い、種々知見を得た。
1.職業性アレルギ-の発生機序の解明
(1)気道アレルギ-に関わる呼吸器刺激性の定量的評価を、シラン、テトラエトキシシラン等のマウス吸入試験により検討評価(桜井)。
(2)感作性金属(Be、Zr、Pt、Co、Ni)の免疫毒性をマウス脾細胞におけるDNA合成、LTT指数、NK活性等を反応指標として検討し、アレルギ-学的毒性影響の順位は、Be>Ni≧Pt〉Co〉Zrと結論(島)。(3)職業性アレルギ-発症とライフスタイル要因との関連を、コバルト曝露集団をモデルに検証(森本)。(4)産業化学物質の皮膚感作性の評価とその問題点をmonobenzoneを例に検討(野村)。(5)農薬によるアレルギ-疾患の発症態様を、現地疫学的に解明(松下)。(6)職業性アレルギ-の多発要因の検討を発生事例の検討より追及(原)。
2.職業性アレルギ-に対する効果的予防対策の確立
(1)職業性アレルギ-とライフスタイル要因との関連の追及では、職域に於けるアレルギ-疾患の予防には、曝露環境の改善と共にライフスタイルの改善も必要で、特にアトピ-素因の者では重要となる(森本)。(2)農薬による職業性アレルギ-疾患発生に関する調査では、発症の背景要因として防備体制の不備等の問題点が明らかとなり、予防対策上衛生教育等が重要である(松下)。(3)職業性アレルギ-発生事例と防止対策の効果判定の検討では、改善例はあるものの、企業規模ならびに下請け関連によっては困難な場合も多く、感作性の表示と労働者への情報提供と教育・訓練が特に重要なこと(原)、等が明らかにされた。

研究成果

• [文献書誌] 須永 匡彦・他: "美容従事者の皮膚障害とその予防ー保健所における集団検診結果ー" 日本公衆衛生学雑誌. (1992)
• [文献書誌] 西谷 宣雄・他: "しそ栽培作業者の職業性皮膚障害" 産業医学. (1992)
• [文献書誌] Shirakawa T.et al.: "Lifestyle effect on total IgE" Allergy. 46. (1991)
• [文献書誌] Shirakawa T.et al.: "Lifestyle effect on specific IgE" Allergy. (1992)
• [文献書誌] Shirakawa T.et al.: "Specific IgE antivodies to nickel in workers with known reactivity to cobalt" Clinical and Experimental Allergy. 22. (1992)
• [文献書誌] Shirakawa T.et al.: "Effect of smoky habits and occupational dust exposure on total IgE" Chest. (1992)
• [文献書誌] Shirakawa T.et al.: "Effect of smoky habits and occupational dust exposure on specific IgE" Journal Occupational Medicine. (1992)
• [文献書誌] 小濱 木の実・他: "柑橘類栽培作業者の農薬による皮膚障害に関する調査" 日本農村医学会雑誌. 40. 971-972 (1991)
• [文献書誌] 原 一郎・他: "アレルギ- 産業の場からのアプロ-チ「皮膚アレルギ-の診断」の項を分担執筆" 金芳堂, 290 (1992)
• [文献書誌] 森本 兼曩: "ライフスタイルと健康" 医学書院, 322 (1991)