ホスホリパ-ゼAについて、血小板、マスト細胞におけるA_2の精製を行い、その活性化機構を検討し(井上)、ラット小腸粘膜におけるアイソザイムを精製し、その細胞間局在性を明らかにし(岡本)、また血小板脂質の過酸化に伴い、A_2が活性化されることを見出した(藤井)。またジアシルグリセロ-ル産生能とリンホトキシン抵抗性との密接な関係を明らかにし、リンホトキシンの細胞傷害発現に伴うA_2活性の上昇機構(大澤、豊島)、ヒト血小板からのC活性の精製と性質(野沢)、ラット肝の核におけるC活性の存在とその分子種の性質に比較(小泉)について検討を加えた。 血小板活性化因子(PAF)について、好中球や肺胞マクロファ-ジにおける産生の制御因子(和久)、胃、心臓、子宮など正常組織における存在(齋藤)を明らかにし、PAFの特異抗体を用いたラジオイムノアッセイを開発した(野島)。またPAFアセチルハイドロラ-ゼ欠損者を見出し、その血清よりPAF遊離因子を精製した(鈴木)。 さらに血小板のコラ-ゲンによる活性化機構を明らかにし(鬼頭)、細胞内における情報伝達に関与するホスファチジルイノシト-ル(PI)キナ-ゼをラット脳より精製し(竹縄)、PIアンカ-の機能について検討を加えた(池沢)。またジアシルグリセロ-ルリパ-ゼの精製を通じて、その活性発現機構を検討し(中澤)、ホスファチジルセリンの生合成における遺伝的要因やスフィンゴ脂質の細胞増殖における役割(赤松)、脂肪酸分子種の抗体産生やマウス腸瘍壊死因子産生に及ぼす影響について検討した(奥山)。また脂肪酸の物理化学的性質の検討(濱田)、および非天然リン脂質の化学的合成(村松)を通じ、生体膜におけるリン脂質の機能についての知見を得た。
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