研究分担者 |
黒川 清 東京大学, 医学部, 教授 (30167390)
遠藤 仁 東京大学, 医学部, 助教授 (20101115)
折田 義正 大阪大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70028398)
今井 正 自治医科大学, 薬理学, 教授 (40049010)
斉藤 寿一 自治医科大学, 医学部, 教授 (10048994)
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研究概要 |
腎糸球体メサンジウム(M)細胞の増殖と基質増生は糸球体有効濾過面積の減少を介して糸球体濾過量の低下の一因となりうる。M細胞に対して局所因子であるエンドセリンやインタ-ロイキン(IL)ー6は自らの細胞で産生,分泌され,オ-トクリン因子であることを明らかにした。両因子はM細胞でのプロスタグランディン産生を促進し,またILー6は基質分解酵素mRNAの発現を促進する。またM細胞に対してShear stressは形質転換成長因子(TGF)ーβを産生,分泌することも明らかにし,TGFーβのM細胞での増殖や基質の調節に関与するオ-トクリン因子としての役割が注目される。自然発症高血圧ラットではM細胞の異常増殖が認められるが,本動物のM細胞ではホスホイノシタイド代謝が亢進しており,その機序には以上に述べたオ-トクリン因子の異常産生,分泌が関与している可能性が示唆され,高血圧性腎障害との関連性が注目される。次いで尿細管でのホルモンによる水ーイオン輸送の調節機構についてバゾプレッシンの作用をネフロンセグメントを用いて解析した。V_1およびV_2持抗剤で抑制されない新しい型のバゾプレッシン受容体がS_1でみられ,この発現が自然発症高血圧ラットのS_1で減弱していることを見い出した。また腎乳頭部集合管でのバゾプレッシンはcAMPと細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させたが,cAMPの産生にはCa^<2+>が重要な修飾因子となることを明らかにし,同時にNaーH交換系を介して細胞内pHを上昇させ,しかも細胞内pHがバゾプレッシンの反応性を規定する重要な因子であることも明らかにした。最後にブラジキニンの作用機序を細胞内Ca^<2+>の反応性で検討すると,糸球体,髄質部および皮質部太いヘンレ上行脚,皮質集合管に認められ,その受容体はB_2を介して細胞内プロスタグランディンによってNa利尿作用を引き起こしている可能性が示唆された。
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