研究課題/領域番号 |
02304064
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線生物学
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
桧枝 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
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研究分担者 |
宗像 信生 国立がんセンター, 放射線研究室, 室長 (50100152)
高倉 かほる 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (80052281)
二階堂 修 金沢大学, 薬学部, 教授 (60019669)
桑原 幹典 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10002081)
稲垣 卓 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70030442)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | DNA / 放射線損傷 / 真空紫外線 / シンクロトロン放射 / ナミンダイァ- / 主鎖切断 / 突然変異 |
研究概要 |
真空紫外線による核酸損傷に関し、最初の過程であるエネルギ-吸収過程から、最終的な生物的変化である細胞の突然変異の塩基変化スペクトルにいたる多層的な段階で、多くの成果を得ることができた。以下に主要な結果を箇条書きにまとめる。(1)エネルギ-吸収過程に関しては、気体試料の吸収が強くなると逆に光音響法による信号が低下するという反転現象が見いだされ、本法の基礎的性質に関する新しい知見が得られた。(2)ヌクレオチド固体に生じるラジカルを、スピントラッピング法で調べたが、十分な強度が得られなかった。照射法やトラップ剤に関して抜本的改良が必要であることがわかった。(3)チミン蒸着膜に生じる主要な生成物は、140nmを境とし、長波長領域ではシクロブタン型2量体および(6ー4)光生成物の遠紫外線タイプであり、短波長領域では5ーhydroxymethyluracilなどの電離放射線タイプであった。(4)オリゴヌクレオチド(チミジリルチミジン)に生じる主要な反応は210nmより長波長側では遠紫外線タイプの塩基損傷生成であり、短波長側では主鎖切断のモデルともいえるデオキシリボ-スの破壊であった。(5)乾燥DNAに生じるシクロブタン型チミン2量体とチミン(6ー4)光生成物の作用スペクトルが300ー150nm領域で測定された。150nmでもチミン2量体が生成することが初めて明らかにされた。(6)水溶液中のDNAに生じる2本鎖切断が180と160nm照射で測定され、160nmの方が効率良く2本鎖切断を生じることが明らかとなった。(7)枯草菌胞子に生じるナリジキシン酸耐性遺伝子の突然変異を、塩基レベルで比較的簡単に検出する系を確立し、予備的な結果を得た。真空中の紫外線・軟X線照射によって、希なタイプの塩基変化が特異的に誘発されることが示唆された。(8)アミノ酸の放射線分解に超励起状態を経由する特異的な径路があることが示唆された。
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