研究分担者 |
池淵 周一 京都大学, 防災研究所. 水資源研究センター, 教授 (20026181)
榧根 勇 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10015539)
丹保 憲仁 北海道大学, 工学部, 教授 (80001147)
志村 博康 東京大学, 農学部, 教授 (00007064)
樋口 敬二 中部大学, 国際関係学部, 教授 (50022512)
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研究概要 |
都市化の進展,森林,リゾ-ト地の開発に伴って流域からの流出,河川の流量の変化,都市内で地下水循環の変化に伴う蒸発散のバランスの変化など水文循環の変化は多岐に渡っての問題を生じている。各分担者は都市化に伴う水循環の変化が環境に与える影響について研究を行った。 1)現代水利の動向はその方向性を提示するものであり,都市水利が人工システム化,農業水利が流域水文循環系の拡大化に向っている。このことは,二つ水利が全く性質の異なる水利に分化しつつあるということである。これまで,近代的水利システムの整備においては,都市水利も,農業水利も,水利という同一のカテゴリ-として扱われてきたが,これからは,別種のものとし て吟味される必要がある。都市水利は人間活動の動態に対応するシステム特性をもつ必要があり,また農業水利は,これまでの農業活動の他に,生態系の動態を支えるものとしての諸機能が解明される必要がある。 2)人間活動に伴う河川流量の長期的な変動傾向を調査した.外国では河川流量の減少が指摘されていたが,わが国の河川についても調査し,40年間に6〜3%の流出率の減少がみられた. 3)都市の中での河川高水敷は,失われた水文循環を補う水辺空間としてもその役割が注目されている。高水敷上での気測定によると周辺に比べて2〜3℃の差があり,微気象のコントロ-ルとしての役割を把握することができた。 4)樹木からの蒸散,地表面からの蒸発を地下水を変化させて測定し,水文循環の定量的な測定を行った。年間を通しての蒸散量は降雨量の7割強の値となり,樹木の水文循環での役割について多くのことが得られた。
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