研究概要 |
今年度は本研究の第二年度にあたるため,初年度の研究成果を踏まえて,研究課題にかかわる調査研究を深めることに務めた。研究会は,研究分担者を中心とする研究委員会を5回,研究協力者及び資料提供者を加えた調査研究部会を7回,合計12回の会合を開いた。年間を通して行われた研究としては,映像資料の保管・検索を可能にするための映像ネットワ-ク・システムの検討,海外における動向の情報収集,文化映像の製作・保管・活用を推進するための研究協力者及び関係者のヒアリング,映像を活用している諸機関の調査(アンケ-トと実地調査)の実施及び文化映像の製作・保管・活用に関する問題点の整理等を行った。 以上の過程において,次の4点の問題提起が行われた。 (1)映像の製作,検索,活用のネットワ-クや,保管及び技術開発の中心的機能を果たす映像センタ-設立の必要性 (2)国立映像大学や現職研修制度の設置による映像専門家の養成 (3)著作権処理の円滑化等,映像の製作・保管・活用に関する国の基本法としての映像関連法制定の必要性 (4)検索しやすい映像の分類方式の確立 特に(4)については,製作・活用される映像のジャンルが多岐にわたり,また各ジャンルで分類の考え方が異なっていること及び1つの映像には多数の情報が含まれていること等の理由から,分類方式の確立は容易ではない。併せて前年度に引き続き,文化映像活用の活発化のための映像の著作権処理の円滑化の方策も重要な課題として検討が進められているが,映像には複数の異なる著作権が複雑に絡み合っているため,この点についての解決も簡単ではない。しかし文化映像の活用,特に生涯学習における活用の促進を図るためには,共に避けて通ることのできない研究課題であることが確認された。
|