研究課題
本研究の目的は、留学生が大学教育を受けるのに必要とされる日本語能力の内容を明かにし、予備教育の教育内容の改善、入学試験選考の効率化、大学内での日本語教育の充実等に貢献しようとするものである。本年度は次の3点について調査を行った。1.日本語能力試験一級と大学教養課程程度のレベルを目指す留学生用教科書の語彙の比較調査現行の日本語能力試験一級は、学術目的の試験でないため、入学後の学生生活において必要となる分野における日本語の知識を評価していない可能性がある。今年度公開された平成2年度日本語能力試験一級の語彙と、東京外国語大学編集の留学生のための教科書の語彙とを比較対照することによって、その関係を調査した。結果としては、ほとんど重なりがないということが判明した。2.海外の大学入試関連語学試験調査米国で施行されているTOEFLに関する文献を検討し、学術目的の語学試験はどういうものであるべきかを検討する資料とした。3.留学生の言語生活実態調査学部レベルの留学生がどのような言語生活を送っているのかを知るためには実態調査をする必要がある。そのサンプルとして、3人の留学生に24時間の生活記録を付けてもらった。最後に、過去2年間の調査研究を踏まえて最終報告を作成した。