研究分担者 |
佐々木 脩 秋田県立農業短期大学, 助教授 (80073972)
岡田 幸助 岩手大学, 農学部, 助教授 (50002077)
首藤 文栄 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (60001533)
落合 謙爾 北海道大学, 獣医学部, 助手 (80214162)
前出 吉光 北海道大学, 獣医学部, 教授 (40002084)
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研究概要 |
1.水鳥の鉛中毒の発生調査 平成3年度には22羽の水鳥を剖検した。これにはマガン,オオハクチョウ,コハクチョウ,マガモ,オジロワシ,コガモ,ヨシガモ,ハイジロカイツブリが含まれる。鉛中毒と診断されたものはマガン2羽,オオハクチョウ1羽,コハクチョウ1羽,計4羽であった。鉛中毒発生は北海道宮島沼の他,北海道標茶町シラルトロ湖および群馬県多々良沼であった。これらのうちシラルトロ湖の例は大型のつりのおもしによる中毒であったのに対し,他は散弾鉛による中毒であった。以上の成績から,散弾鉛による水鳥の中毒症は,北海道のみならず本州にも存在することが明らかとなり,他方ではつりのおもしによる中毒例も指摘された。 2.水鳥の鉛中毒症の診断・予防・治療 鉛中毒の診断法として,血中ならびに組織内の鉛濃度の測定,X線撮影法あるいは病理解剖による鉛粒の確認が有効であることが本研究でも確認された。このほか,アヒルをを用いた実験的研究により,赤血球ALAーd活性の測定が鉛中毒の診断に有用であるとみなされた。 次に,北海道宮島沼で鉛中毒症に罹患したマガン27羽,オオハクチョウ4羽,コハクチョウ2羽に,CaーEDTAを投与して治療を試みた。これらの血中の鉛濃度は治療開始後1週間で,治療開始前の1/2〜1/5に低下した。この治療により,マガンは27羽中11羽が3〜8週間で回復し,この治療法の有効性が示された。しかし,他のマガンとハクチョウは回復しなかったが,これらについてもCaーEDTAの投与を継続するなど治療法を改善すれば,回復可態であることが示唆された。
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