研究課題/領域番号 |
02401010
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
村井 誠人 早稲田大学, 文学部, 教授 (60130879)
|
研究分担者 |
安斎 和雄 早稲田大学, 文学部, 教授 (80063395)
野口 洋二 早稲田大学, 文学部, 教授 (40063549)
栄田 卓弘 早稲田大学, 文学部, 教授 (10063330)
野崎 直治 早稲田大学, 文学部, 教授 (90063255)
山本 俊朗 早稲田大学, 文学部, 教授 (70063146)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
キーワード | 西洋史 / 女性史 / 社会史 / 女性の地位 / J.S.ミル |
研究概要 |
歴史研究の対象が社会構造、日常生活、「心性」といった方面にも拡大されてきたうえに、女性の地位向上、社会での進出ぶりがそこに大いに影響し、その女性自らによる「女性史」が本格的に著されるべき時代へと、私たちの"時代"そのものが移行しつつある。女性史研究は「偉人伝」的なものよりも、それぞれの時代・地域の社会・家族の中での女性の地位、役割、さらに女性観を扱うことによって、社会構造史的枠組みの中でも、従来、その中に常に存在してきたにもかかわらず、往々にして欠落させられてきた部分の復元的作業であるとそれを考えるならば、私たちがいつの時代、いつの社会を考える際にもこの視点を避けるわけにはいかないことは明白である。 これは近代の西欧的民主主義の発展に関わる現象であって、したがって、時代と場所が異なる歴史的諸相における女性と社会の相関は、それぞれに何らかの差異、特徴を呈することになる。すなわち、私達は、いわゆる西欧社会において近代の「民主主義」思想の出現以前の状況、その出現後の状況、そしてそれが社会的に充分に浸透するにいたるまでの状況をそれぞれ分析し、その差異を示唆しうるのである。それを、本研究では時間的に、シュメ-ル、ロ-マ、初期ゲルマン、中世前半期、中世後期、近世、19世紀、現代にそれぞれ注目しつつ弁別し、地域的には、特に近代において地域的な差異による西欧的価値観のヴァリエ-ションを示しつつ、本質的に異質の部分であるロシアのそれをも含めて検討してきた。時間的にも空間的にも広大な領域を扱わざるをえない西洋史学の、そしてそこにおける「女性史」の困難さとやり甲斐を認識し得ただけでも、本研究は意義があったといえようか。
|