研究概要 |
今年度は、前年度に開発・製作したシンチレ-ション箱を用いて、高エネルギ-研において、K中間子ビ-ムを使い、(K^-,K^+)反応の観測を行なった。(K^-,K^+)反応では、Ξ^-粒子が生成されるが、このΞ^-を用いてΞ^-C,Ξ^-P反応を測定しようとするものであり、H粒子やダブルハイパ-核の探索を主な目的としている。この実験を遂行するにあたり、今年度は、特にシンチレ-ション箱の画像デ-タ取得システムを新たい製作した。その為に、CCDの画像デ-タをデジタル化し8mmテ-プに記録するためのVMEモジュ-ルを購入した。又実験中のデ-タ取得のモニタ-としてビデオ装置を購入し使用した。さらにシステムを安定して動作させ、又長期の実験中の安定性を調べる為に、光ファイバ-システムを用いた較正装置等、実際の使用上必要な物を購入、製作した。又予算的には、高エネルギ-研での実験遂行のための旅費もかなりをしめた。 実験は幸い平成4年2月に無事終了し、約3×10^4(K^-,K^+)反応の画像デ-タを得ることができた。これはシンチレ-ションファイバ-箱をもちいたこの種の世界初の実験であり、いまだかってない大量のデ-タである。これまでの予備的解析では、数多くのΞ^-のトラックがとらえられており、又検出器性能についても位置分解能(300μm),飛程とエネルギ-分解能,光量変化による粒子識別,ビ-ム強度依存性,等々基礎的研究を数多く行なった。とくにこのシンチレ-ション箱を実用に供した成果は大きく数々の経験と技術を蓄積することができた。今後の解析がすすむに従い、H粒子やダブルハイパ-核の生成率(上限も含)やΞ^-P→∩∩反応等の断面積を測定し、ハイペロンー核子相互作用について大きなインパクトを与え得るデ-タを提供できることを確信している。尚すでにΞ^-P→∩∩反応がとらえられており、さらにΣ^+P敬乱の測定をひきつづき行う予定である。
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