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1993 年度 実績報告書

脂質膜系における分子集合体の構造形成

研究課題

研究課題/領域番号 02402010
研究機関名古屋大学

研究代表者

八田 一郎  名古屋大学, 工学部, 教授 (70016070)

研究分担者 高橋 浩  名古屋大学, 工学部, 助手 (80236314)
キーワード脂質 / リン脂質 / 生体膜 / X線回折 / 電子顕微鏡観察 / X線小角散乱 / 多形 / 相転移
研究概要

これはリン脂質膜の構造を中心にして詳細な研究を進めることによって、脂質とタンパク質から成る生体膜の基本構造を明らかにすることを目標に進められた。本年度は、リン脂質とコレステロールより成る系の構造をより生体膜に近い系で研究することを目標として、不飽和炭化水素鎖をもつジエライドイルホスファチジルエタノールアミンとコレステロールから成る系においてX線回折と熱測定の実験を行った。この場合、温度を上げるにしたがい、ゲル相、液晶相、ヘキサゴナルII相をとるが、それぞれの相の間には共存領域があることが判った。また、コレステロール濃度20mol%付近で、ゲル相と液晶相の相境界は消失し、他の飽和鎖からなるリン脂質の場合と類似していることが判った。リン脂質膜とアルコールとの相互作用については、多くの研究者によって興味がもたれているが、それがとる構造についてはまだよく判っていない点が多い。その系がとるインターディジテイティッド構造については多くの研究がありながら、その詳しい構造は判っていない。炭化水素鎖の異なる各種のホスファチジルコリンと炭素数の違う各種のアルコールの組合せの系に対する精密X線小角回折実験より、それぞれの場合のラメラ構造の電子密度分布を解析することにより、アルコール分子はインターディジテイティッドで現われる水面近くの炭化水素末端の疎水性部を丁度埋め尽くすように入り込み、アルコール分子の方も炭素部を膜中に向け水酸基を水面に向けているというモデルを提案した。不飽和炭化水素鎖をもつホスファチジン酸とポリリジン重合体との相互作用を熱測定により測定し、ここでも飽和炭化水素鎖なら成るホスファチジン酸との相互作用と大きくは類似していることが判った。X線回折実験と熱測定の同時測定は、相転移現象についてのミクロな側面とマクロな側面を同時にみることができるという点で、大変興味ある課題であるが、ジパルミトイルホスファチジルコリンの相転移においてその測定に成功した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] S.Matuoka: "Condition for the appearance of the metastable P_β' phase in fully hydrated phosphatidyl-cholines as studied by small-angle X-ray diffraction." Biophys.J.64. 1456-1460 (1993)

  • [文献書誌] K.Tuchida: "ESR study on two motional states of acyl chains in P_β' phase of phospholipid." J.Phys.Soc.Jpn.62. 4154-4155 (1993)

  • [文献書誌] I.Hatta: "Phase transitions and polymor-phism in phospholipids." Phase Transitions. 45. 157-184 (1993)

  • [文献書誌] I.Hatta: "A new liquid crystalline phase in phosphatidyl-choline bilayers as studied by X-ray diffraction." Chem.Phys.Lipids. in press. (1994)

  • [文献書誌] 高橋浩: "モデル生体膜のミクロ構造" 表面. 31. 589-599 (1993)

  • [文献書誌] 八田一郎: "モデル生体膜" 日本結晶学会誌. 35. 162-164 (1993)

  • [文献書誌] 江間健司: "高分子機械材料シリーズ 第3巻 高分子物性の基礎 第4章 特性解析 4.8 非定常熱分析" 共立出版株式会社, 15 (1993)

  • [文献書誌] 八田一郎: "膜学実験シリーズ 第I巻 生体膜編 第4章 膜研究技術 4.1節 顕微鏡による観察法 4.1.3 走査トンネル顕微鏡および原子間力顕微鏡" 共立出版株式会社, 3 (1994)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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