平成2年度においては、試作ずみのメタン連続測定器に改良を加えて、移動プラットフォーム搭載用モデルを設計・製作し、実験室内における性能試験を行った。また南極観測船「しらせ」に搭載して、南極への航海途上に振動・動揺体プラットフォーム上での性能テストと、水蒸気の測定への影響チェックを行った結果、データ処理操作により、数分程度の時間分解能で5%程度の測定精度を実現しており、測定データがメタン濃度の緯度分布を描き出していることが判明した。 平成3年度には、試作器の動作テストを続けた結果、測定誤差を規定しているのは主としてレーザー光特性の安定性であることをつきとめ、特に温度変化が安定性をそこなう主原因であると推定した。そこでレーザー発振管周囲温度の空間的均一性と安定性をはかるように改良した測定器を設計・製作した。 平成4年度から5年度にかけて、さらに測定器の改良を繰返し、数分程度の時間分解能で1%の測定精度が得られることを確認できたので、自動車と飛行船に搭載して、茨城県の水田周辺のメタン分布測定、および首都圏上空における広域分布の測定を行った。水田におけるメタン濃度分布の測定データに拡散モデルを適用し、水田からのメタンの発生量フラックスの推定を行い、その結果をチェンバー法および傾度法による値と比較して、大筋においては一致することを確かめた。これにより、拡散モデルを用いて数100メートルから数キロメートルのメタン発生量フラックスを広域的に求めうる可能性を示すことができた。また首都圏上空における飛行船観測では、東京湾岸の浦安上空で2ppmvを越す濃度が観測され、この付近に強い発生源があることが示唆された。
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